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第114回学術集会(平成19年10月14日(日))
【一般演題】
良性腫瘍 TCR(trans cervical resection)を施行したAtypical Polypoid Adenomyomaの2例
横田 貴子, 岡野 浩哉, 梅崎 泉, 清水 聖子, 樋田 一英, 斎藤 馨, 太田 博明
東京女子医科大学産婦人科
子宮のポリープ状異型腺筋腫(Atypical Polypoid Adenomyoma,以下APA)は1981年にMazurによって報告された子宮に発生するポリープ様病変で,本邦では良性上皮性・間葉性混合腫瘍のなかの腺筋腫の変異型に分類されている.今回我々は術前粘膜下筋腫と診断しTCRにて切除術を行い,術後病理検査にてAPAと診断した2症例を経験したので報告する.【症例1】34歳未経妊,2年前より持続する過多月経と貧血を主訴に他院より紹介初診した.経腟超音波及びMRI検査にて子宮前壁より発生した粘膜下筋腫と診断し,TCRによる切除術を施行,病理組織診断にてAPAと診断された.術後再発徴候はなく現在も外来経過観察中である.【症例2】30歳未経妊,2年前より月経痛の増強と過多月経を認め近医受診,子宮筋腫の診断にて当科紹介初診した.初診時高度貧血(Hb7.6g/dl)を認め,内膜細胞診は陰性であった.経腟超音波及びMRI検査にて子宮体下部より発生した直径2.5cmの粘膜下筋腫と診断,TCRによる切除術を施行,病理組織診断にてAPAと診断された.術後外来経過観察中に再発が認められ現在再手術予定している.APAは内膜細胞診にて発見は困難とされており本症例も術前に診断することはできなかった.治療は良性疾患に分類され,若年婦人に好発することから保存的手術が選択されるが,遺残や再発により再治療が必要な場合も多い.また,類内膜癌との共存やさらに類内膜癌の続発との報告もあり慎重に取り扱う必要がある.本症例のように粘膜下筋腫と診断した場合でも,APAも念頭に入れた治療が必要であり,また,術後の外来管理には再発や悪性化の有無を観察していくことが肝要であると考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(3)
338-338, 2007
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