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第115回学術集会(平成20年6月15日(日))

【教育講座】
「産婦人科科診療ガイドライン―産科編2008」の注意点


水上 尚典
北海道大学大学院医学研究科産科生殖医学分野
産婦人科診療ガイドライン作成委員会委員長


 産婦人科診療ガイドライン―産科編2008」(以下,本ガイドライン)は2008年4月に発刊された.購入希望の方は日本産科婦人科学会事務局(TEL:03-5842-5452, FAX:03-5842-5470)まで問い合わせ願いたい(価格は郵送料込みで5,000円).本ガイドラインは産科臨床を実践するうえで知っておくべき重要な事柄,また有用な事柄をClinical Question(CQ)& Answer(A)という形で収載している.以下,本ガイドラインで推奨レベルAあるいはBとして勧められているが,意外に抜け落ちかねないポイントについて列挙する.
 1)問診票を用いてハイリスク妊婦抽出のための情報取得(CQ002,B):特に重要なのは,風疹に関する問診,GBS感染児出産既往情報,巨大児出産既往,肩甲難産既往,DM家族歴情報.
 2)風疹に関しては,初期にHI法で行う(A),初期の問診(過去3ヶ月以内の発疹,発熱,頸部リンパ節腫脹,小児との接触が多い職場環境)(B),風疹様症状,風疹患者との接触,あるいはHI 256倍以上妊婦では感染診断検査実施(B).
 3)性器ヘルペスに関して,新生児ヘルペス発症に注意する(B).
 4)GBSに関しては,全例スクリーニング(B)と前児がGBS感染症の場合には今回(-)でも予防抗菌薬投与(B).
 5)羊水過多,過少を認めたら原因検索(A)
 6)悪阻時輸液のビタミンB1添加(A)
 7)稽留流産診断時には子宮外妊娠を想定する(A)
 8)複数回診察後に稽留流産は診断すること(B)
 9)人工中絶時,事前の内診とエコー検査を実施すること(A)と術前検査(血型,血算)実施すること(B)
10)妊娠反応陽性かつGS(-)時には子宮外妊娠を想定(B)
11)Rh(D)陰性妊婦の中絶,流産,羊水穿刺後の抗D免疫グロブリン投与(B)
12)円錐切除後妊娠は早産ハイリスクと認識する(A)
13)HCV抗体陽性が判明した場合,HCV-RNA定量検査実施(A)
14)切迫早産徴候妊婦に異常胎児心拍パターンを認めた時,常位胎盤早期剥離を鑑別する(B)
15)早産既往妊婦は早産ハイリスク妊婦と認識する(A)
16)ヘパリン投与下ではHITに注意し血小板数測定を行う(B)
17)薬剤による陣痛促進はインフォームドコンセント後に行う(A)
18)妊娠41週以降は胎児well-beingを定期的モニターする(B)
19)陣痛促進薬使用中に胎児機能不全が疑われる場合,薬剤投与中止を検討する(B)
20)肩甲難産既往妊婦へのGDMスクリーニング(B)
21)羊水混濁を認めたら胎児心拍をモニターする(B)
22)胎動回数減少主訴妊婦には胎児well-beingを評価する(B)


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(2) 116-116, 2008


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