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第115回学術集会(平成20年6月15日(日))
【一般演題】
前置・癒着胎盤 前置胎盤症例に対する管理入院の有用性の検討
今野 秀洋, 田嶋 敦, 氏平 崇文, 楠木 総司, 丸山 真由子, 永井 富裕子, 田口 雄史, 阿部 礼子, 野島 美知夫, 吉田 幸洋
順天堂大学産婦人科
【緒言】前置胎盤は,経腟超音波の普及により妊娠中期の診断が容易となり,計画的な入院管理と帝王切開術による分娩が行われるようになったが,時として大量の出血をおこし母児の生命に危険を及ぼすこともあり,厳重な周産期管理が必要な疾患である.現在,我々の施設では妊娠32週前後を目安に自己血貯血を含めた管理入院をおこなっている.【目的・方法】今回,貯血を含めた管理入院の有用性を調べるため,2004年1月から2008年2月までの期間に当院において分娩管理を行なった症例の内,前置胎盤合併妊娠44例を対象とし検討を行った.【結果】妊娠歴では19例(43%)が初産であった.既往歴では流産21例で,帝王切開の既往は2例のみ,そのうち1例は癒着胎盤にて子宮摘出術を行った.分娩時期は中央値36週であり,全例帝王切開術を施行していた.管理入院が可能であった症例は38例であり,そのうち帝王切開術を準備していたが,突然の出血で36週前に緊急手術になった症例は12例(32%)であった.術中・後に輸血を要した例は31例(70%)であった.自己血を準備することができたのは32例で,このうち2例で自己血のみで足りず同種保存血を追加した.また,多胎妊娠を除く他の適応による帝王切開症例をコントロール群として比較したところ,分娩週数は前置胎盤症例で有意に短く(中央値36週),出血量が多く(中央値1130g),低出生体重児(中央値2472g)の傾向がみられた.【結論】今回の検討より,前置胎盤では出血量が多く,帝王切開術を予定しても緊急手術になる症例も少なくなく,また低出生体重児の傾向もみられるため,自己血の貯血も含めた早期からの管理入院が有用と考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(2)
118-118, 2008
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