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第115回学術集会(平成20年6月15日(日))
【一般演題】
前置・癒着胎盤 保存的管理し得た正常分娩後胎盤遺残の2症例
小山 寿美江1), 栗城 亜具里1), 清河 翠1), 齋藤 佳実1), 吉江 正紀1), 近藤 哲郎1), 安藤 直子2), 佐々木 康1), 小塚 和人1), 小川 公一1), 高橋 諄1)
昭和大学横浜市北部病院産婦人科1), 大和徳洲会病院産婦人科2)
[緒言]胎盤位置異常の無い癒着胎盤は分娩前の診断が困難である.その多くは分娩後に初めて診断され,出血のためにしばしば子宮全摘を余儀なくされる.今回我々は正常分娩後の胎盤遺残でMRIで癒着胎盤が疑われたが保存的に管理し得た2症例を経験したので,これに文献的考察を加え報告する.[症例1]26歳,1経妊2経産.正常分娩後,娩出胎盤に欠損があり,子宮内に胎盤遺残を確認.MRIで癒着胎盤の可能性が考えられた.分娩直後の出血は多かったが,子宮収縮剤投与,子宮底輪状マッサージ施行にて子宮収縮良好となり,出血は減少,感染所見も見られなかったため産褥17日目に退院,外来管理とした.産褥41日目に組織片の自然排出を認め病理学的に胎盤組織と診断された.超音波,MRIで子宮内の胎盤遺残消失を確認.[症例2]30歳,6経妊2経産.前医にて正常分娩後,胎盤娩出せず用手剥離を施行したが一部子宮内に残存し,大量出血のため当院へ搬送された.来院時,持続的な出血はなかったが,重症貧血があり,MAP14単位,FFP10単位の輸血を施行した.子宮収縮不良で,子宮収縮剤投与,子宮底輪状マッサージ,およびヨードホルムガーゼ子宮内充填を施行した.MRIで遺残胎盤に血流を認め,癒着胎盤の可能性が考えられたが,出血の増加や感染徴候はなく産褥7日目に退院,外来管理とした.産褥75日目のMRIで遺残胎盤の血流は消失していた.産褥89日目,子宮鏡施行時に組織片の排出を認め,病理学的に胎盤組織と診断された.超音波で,遺残胎盤は消失していた.[結論]今回の症例では,部分癒着胎盤が疑われたが,慎重な管理によって侵襲的な治療を行わずに子宮温存が可能な症例もあると考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(2)
119-119, 2008
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