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第115回学術集会(平成20年6月15日(日))
【一般演題】
子宮内膜症・子宮腺筋症 卵巣子宮内膜症はPIDのリスク因子か?
種市 明代, 藤原 寛行, 竹井 裕二, 嵯峨 泰, 町田 静生, 野中 宏亮, 大和田 倫孝, 鈴木 光明
自治医科大学産婦人科
【目的】卵巣子宮内膜性嚢胞にpelvic inflammatory disease(PID)が合併することは臨床的にしばしば遭遇するが,その頻度など詳細はまだ不明である.そこで我々はPID患者の背景を調べ,内膜症性嚢胞とPIDの関連を検討したので報告する. 【方法】2006年1月〜2007年12月,当院において1)臨床的PIDと診断し保存的に治療した40例,2)PIDが疑われ開腹手術を行い,膿性腹水や病理組織学的に卵管炎等が確認されPIDと確定診断した23例を対象に,PIDとその背景にある器質的疾患との関連を検討した.なお臨床的PIDとは下腹痛があり,38℃以上の発熱または膿性帯下,WBC15000/μl以上,CRP5mg/dl以上,クラミジア抗原陽性などを認めるものとした. 【成績】1)臨床的PID40例中,内膜症性嚢胞合併は16例(40%)に認められ,その他の器質的疾患は子宮筋腫5例(12.5%),子宮腺筋症4例(10%)であった.2)開腹手術で病理組織学的にPIDと確認された23例中,内膜症性嚢胞合併は10例(43%)であり,次いで子宮筋腫2例(8%),子宮腺筋症1例(4%),mucinous cystadenoma1例(4%)であった.両群を合わせると全PID63例中内膜症性嚢胞は26例(41%)に存在した. 【結論】PID症例が持つ背景の中で,最も多い器質的疾患は両群とも卵巣子宮内膜症性嚢胞であった.PIDの約4割に内膜症性嚢胞が合併していたことは,一般的な内膜症性嚢胞の発生頻度からすると高率であると考えられ,内膜症性嚢胞はPIDの発症に強く関与していることが示唆された.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(2)
128-128, 2008
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