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第115回学術集会(平成20年6月15日(日))
【一般演題】
手術・その他 ロキタンスキー症候群における造腟術後の腟の上皮化
渡邊 昭夫, 今井 加納子, 笹 秀典, 河合 淳子, 牧村 紀子, 古谷 健一
防衛医科大学校産婦人科
【はじめに】ロキタンスキー症候群とは,先天性の子宮・腟欠損症であり,女性としてのQOL向上を目的として造腟術を施行することがある.造腟術の術式には多々あるが,当院で行っている人工真皮を用いた造腟術では比較的早期に腟壁の重層扁平上皮化がおこり,腟細胞診にも反映される.当科で経験した症例に関して,本人の同意を得て,造腟術後の腟の上皮化を中心に報告する.【症例】24歳,原発性無月経にてロキタンスキー症候群の診断.造腟術を希望し,当院を来院.平成18年11月2日,腹腔鏡補助下造腟術(McIndoe変法,人工真皮・プロテーゼ使用)施行.術後1週間後に初回包交し,プロテーゼの自己消毒・挿入を指導した後,術後2週間で退院し,造成した腟を自己管理させた.その後は外来にて定期的に経過観察を行っている.【細胞像】手術2週間後の腟細胞像は,炎症性背景に傍基低細胞の融解像のみであった.手術1ヶ月後の腟細胞像は,軽度炎症性背景に傍基低細胞を中心に,一部表層細胞を認めた.手術3ヶ月後では,軽度炎症性背景に表層細胞が半分程度まで増加していた.手術6ヶ月後は,比較的きれいな背景に表層細胞を中心とした,通常の腟細胞所見とほとんど変わらない細胞像となった.【まとめ】当院で行っている造腟術では比較的早期に腟壁の重層扁平上皮化がおこり,それは腟細胞診所見の経過より証明することができた.腟壁の重層扁平上皮化の目安として,腟細胞診の観察は簡便かつ低侵襲で得られる情報も多く,有用であると考えられる.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(2)
132-132, 2008
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