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第115回学術集会(平成20年6月15日(日))

【一般演題】
良性腫瘍・その他[2]
男性から女性への性転換手術後の人工腟に発生した尖圭コンジローマの1例


山下 薫, 千代田 達幸, 菅原 かな, 佐藤 健二, 石川 光也, 小川 真里子, 中川 博之, 吉田 丈児, 高松 潔
東京歯科大学市川総合病院産婦人科


 性の多様化と自由化に伴い,海外で性転換手術を受ける数は増加していると考えられる.今回,我々は男性から女性への性転換手術後の人工腟に発生した尖圭コンジローマの1例を経験したので報告する.
 症例は26歳,X-2年12月にタイ国プーケットにて性転換手術施行.陰茎・睾丸は切除,人工腟壁は陰嚢上皮を反転させる形で形成したとのこと.人工腟を用いた性交渉は可能であり,定期的に注射薬にてエストロゲンを補充していた.X年2月より人工腟口付近に皮疹出現し,性交時に痛みを伴うため,近医皮膚科受診.外陰部に疣状,一部扁平状を呈した丘疹が認められ,人工腟内にも皮疹が認められるとのことにて,X年6月4日当院皮膚科へ紹介となった.人工腟入口部右外側の疣状丘疹に対して液体窒素凍結療法施行後,腟内精査目的にて当科依頼となる.クスコ診上,腟入口部から約3cm奥,9時方向を中心に直径2cmの疣状の丘疹が集合したカリフラワー状の結節が認められた.人工腟壁(元陰嚢上皮)に発生した尖圭コンジローマ疑いにて,X年6月20日局所麻酔下にCO2レーザーメスによる切除・焼灼術を施行した.摘出標本病理検査にてcondyloma acuminatumと診断,HPV-DNAは6型であった.一部残存した腫瘍に対し,X年7月25日再焼灼術施行,その後の再発は認めていない.
 今後,産婦人科医が女性への性転換手術後の人工腟を診察する機会も増えてくるものと思われ,性転換手術や人工腟に対する知識と的確な対応が必要であると思われた.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(2) 134-134, 2008


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