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第115回学術集会(平成20年6月15日(日))
【一般演題】
血栓塞栓症 化学療法施行中に脳梗塞を併発した進行卵巣癌の1例
田岡 英樹, 福田 麻実, 山本 泰弘, 浅川 恭行, 久布白 兼行
東邦大学医学部附属大橋病院産婦人科
悪性腫瘍の進行例ではしばしば悪性腫瘍が原因となって発症する血栓を経験する.今回われわれは,進行卵巣癌術後,化学療法施行中に脳梗塞を併発した1例を経験したので報告する.症例は72歳,女性.強い腹部膨満感を主訴として近医受診し,大量腹水貯留及び悪性卵巣腫瘍の疑いと診断された.その後,腸閉塞を発症し,当院加療目的にて紹介受診となった.術前の下肢静脈超音波検査にて両下肢に血栓形成を認めた.腹水細胞診はclassX,左骨盤内に腹壁に突出する腫瘍を認め,腹膜播種も画像検査で認めた.進行卵巣癌の疑いにて下大静脈に一時的フィルター挿入後,開腹手術施行となった.開腹所見では,腹水5120ml,骨盤腔内は腫瘍による婦人科臓器及び腸管が一塊となり,腹腔内は上腹部まで播種著明の状態であったため,試験開腹手術による腫瘍組織生検及び人工肛門造設術を施行した.術後病理検査は漿液性腺癌であり,術後TC療法を施行した.1クール12日目,呂律が急に回らなくなり上肢を有意に左半身麻痺症状が出現.脳梗塞の診断にてエダラボン点滴開始.症状は軽快傾向を示した.2クール8日目,呼吸困難感出現し,画像にて大量右胸水による右無気肺となった.胸水ドレナージにて胸水除去し,再貯留を認めなかったため,その後,全6クール投与施行.腫瘍マーカーならびにD-ダイマーの減少を認めた.化学療法施行後左胸水も貯留したが,右側同様胸水ドレナージおよび胸膜癒着術にて現在胸水貯留は認めていない.患者本人の希望により,その後他院にて免疫療法施行中である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(2)
135-135, 2008
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