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第115回学術集会(平成20年6月15日(日))
【一般演題】
産科出血II 帝王切開後3ヶ月で過多月経にて診断された仮性子宮動脈瘤の一例
早田 英二郎, 松田 秀雄, 大西 きぐな, 古谷 健一
防衛医科大学校産婦人科
帝王切開術後の子宮仮性動脈瘤は,遅発性子宮出血の原因としてまれではあるが,時として大出血を来すことがある要注意疾患の一つである.今回我々は,帝王切開後4ヶ月で過多月経にて救急搬送され,超音波及び3次元CTにて子宮仮性動脈瘤と診断し,子宮動脈塞栓術によって治療し子宮温存できた例を経験したので報告する.【症例】24歳1経妊1経産.平成19年10月30日前医にて分娩停止の適応で緊急帝王切開術を施行された.このとき左子宮動脈上行枝を損傷し,絹糸で2重結紮したとのことであった.術後経過は良好で,12月初旬に月経発来した.平成20年1月4日より多量に持続する性器出血があり,ショック状態で前医入院,輸血治療を受けた.5日間で止血し低容量ピル処方され経過観察されていたが,2月1日より再度大量の性器出血があり,2月5日当院へ救急搬送された.来院時,超音波上子宮左側に径2cmのlow echoic lesionを認め,カラードプラーでは渦巻き状エコーを認めた.3次元CTにて左子宮動脈に発生した仮性動脈瘤と診断した.翌日子宮動脈塞栓術施行され,術後より性器出血は著明に減少し,現在外来にて経過観察中である.【考察】子宮仮性動脈瘤は,手術操作の際に生じた医原性変化であるという報告が多く,中でも帝王切開後に生じた例が多い.ただ,術後3ヶ月で大量出血を来す例や,しかもそれが月経周期に一致したという例は報告されておらず,今回診断に難渋した点である.月経前後の子宮血流変化,内膜の脱落による仮性動脈瘤周囲の血管露出等が原因かと考えられる.本症例は子宮動脈塞栓術により良好に経過したが,今後同様の症例の蓄積が待たれる.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(2)
140-140, 2008
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