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第115回学術集会(平成20年6月15日(日))

【一般演題】
妊娠・分娩・産褥III
持続血液濾過透析の使用により心肺停止状態から回復できた,脳幹部優位RPLSの一例


金 善惠, 浅井 哲, 樋口 隆幸, 峰岸 一宏, 石本 人士, 田中 守, 青木 大輔, 吉村 泰典
慶應義塾大学病院産婦人科


 症例は26歳,1経妊0経産.妊娠32週5日,妊娠高血圧腎症のため当院紹介となり入院した.妊娠33週1日,血圧220/118mmHgと,急激な血圧の上昇と頭痛を認め,重症妊娠高血圧腎症の診断にて,緊急帝王切開術を行い,1373gの女児を娩出した.術後硫酸マグネシウムと降圧剤を投与したが,血圧は130/90から170/120mmHgで変動し,安定しなかった.術8時間後より意識障害と眼球運動障害を呈し,血液検査所見上,著明な肝腎機能障害と血小板低下を認めた.直ちに撮像した頭部MRIのT2強調像では両側視床,脳幹に広範な高信号を認め,拡散強調像での高信号を認めず,脳浮腫の所見であった.集中治療室にて降圧剤,硫酸マグネシウム,グリセリン製剤,ステロイド投与を開始し,意識状態は改善しつつあったが再び乏尿となり,術後4日目に急性腎不全に伴う電解質異常が原因と考えられる,心肺停止となった.直ちに蘇生を開始し,持続血液濾過透析と人工呼吸管理を行ったところ,術後7日目には全身状態改善し,持続血液濾過透析と人工呼吸管理から離脱できた.術後10日目の頭部MRIでは病変部の改善を認め,術後25日目に退院した.術後5ヶ月の頭部MRIでは病変部は完全に消失し,現在は後遺症なく回復している.臨床経過および画像所見から,HELLP症候群に伴った,脳幹部優位reversible posterior leukoencephalopathy syndrome(RPLS)と診断した.近年子癇・子癇前症の病態としてRPLSの認識が広まってきているが,脳幹部優位のRPLSの報告は少ない.痙攣発作予防目的で硫酸マグネシウムが頻用されているが,尿量を確保できない重症例などでは頻回の血中電解質濃度測定等,慎重に管理を行う必要があるものと考えられた.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(2) 141-141, 2008


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