|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第115回学術集会(平成20年6月15日(日))
【一般演題】
妊娠・分娩・産褥III 周産期心筋症と診断された2症例
谷口 智子, 八尾 陽一郎, 宗 晶子, 松江 陽一, 大路 斐子, 三枝 美智子, 飯塚 裕子, 高野 博子, 前村 俊満, 竹下 直樹, 田中 政信, 森田 峰人
東邦大学医学部附属大森病院産婦人科
妊娠後期から産褥期にかけて症状が顕著化する,原因不詳の拡張型心筋症様の病態が周産期心筋症であり,発症頻度は,1,300から15,000分娩に1例といわれている.今回周産期心筋症と診断された2症例を経験したので報告する.症例1は33歳の初産婦で妊娠高血圧腎症のため33週1日で当院に母体搬送となった.来院時に起座呼吸,肺水腫,心拡大認め同日全身麻酔下で緊急帝王切開施行.2077g Ap4/7の女児出生した.術後は人工呼吸器管理となった.心エコーにてEF30%タコツボ心筋症様の壁運動低下を認めた.術後8日目に抜管,β遮断薬導入し,心機能は徐々に回復.術後43日目EF45%で退院.以後外来経過観察中である.症例2は30歳の初産婦,妊娠高血圧腎症の診断で,妊娠39週陣痛誘発目的で入院.NRFSのため緊急帝王切開施行.3266gAp9/9の女児出生した.その後浮腫や軽度の高血圧の他は術後経過に特に異常を認めなかった.術後6日目に突然呼吸苦出現し,酸素投与開始.肺水腫,心拡大認め,起座呼吸出現.心エコーにてEF20-30%と著名な心機能低下を認めた.術後7日目BiPAPによる呼吸管理開始,利尿剤による徐水やαβ遮断薬導入にて呼吸状態・心機能徐々に改善し,術後8日目BiPAPより離脱.術後25日目にEF40%で退院.以後外来経過観察中である.周産期心筋症は6ヶ月以内に心拡大が消失した例では比較的予後良好であるが,心拡大が遷延する症例では予後不良であるとされている.また次回の妊娠では心不全が再発・増悪することが多く,御本人・御家族への十分なインフォームドコンセントが不可欠であると思われる.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(2)
142-142, 2008
|