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第115回学術集会(平成20年6月15日(日))
【一般演題】
妊娠・分娩・産褥III 妊娠後期に発症した血球貪食症候群の1例
中村 学, 水竹 佐知子, 朝比奈 はるか, 斎藤 麻紀, 宮本 純孝, 西村 俊信, 富田 初男, 安藤 昭彦
さいたま赤十字病院産婦人科
血球貪食症候群(hemophagocytic syndrome;HPS)は種々の原因による高サイトカイン血症により,組織球が異常に活性化・増殖し血球貪食像を呈する病態である.高熱,肝脾腫などの臨床症状を呈し,汎血球減少,肝機能障害,高LDH血症,高フェリチン血症,高トリグリセライド血症,DICなどの検査所見を特徴とする.今回我々は妊娠33週で発熱を主症状に発症したHPSを経験したので報告する.患者は36歳の2回経産婦.近医にて妊婦健診を受けていた.妊娠33週頃より39℃台の発熱あり.感冒として解熱鎮痛剤,抗菌剤の内服をしていた.解熱傾向認めず,妊娠35週2日当院紹介され精査管理目的に入院.入院時,白血球数4030,赤血球数322万,血色素量10.3,血小板数12.8万,GOT81,GPT25,LDH705,CRP2.6.感染症を疑い,抗菌薬の投与と輸液を開始すると同時に,細菌検査やウイルス検査施行したが感染は確定できなかった.解熱はなく,血液検査ではフェリチン高値,血小板減少,血色素量減少,APTT延長,GOT上昇が認められ始めた.骨髄検査にて貪食像も認めた.血球貪食症候群を疑い,内科と協議の上,妊娠36週1日よりprednisoloneの内服を開始した.内服後2日間ほど解熱傾向みられたが,再度発熱.妊娠週数を考慮し,妊娠終了とし,さらなる精査・治療をすることにした.前2回帝王切開既往のため妊娠36週6日,帝王切開施行.分娩後HLH(Hemophagocytic lymphohistiocytosis)study groupのguideline2004の診断基準よりHPSの状態と診断.各種検査施行したが,HPSを引き起こした基礎疾患は不明であった.etoposide,dexamethasoneによる化学療法を施行した.化学療法後,解熱し,血液データも改善した.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(2)
142-142, 2008
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