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第115回学術集会(平成20年6月15日(日))

【一般演題】
生殖・内分泌
雌雄両性の内性器が残存したアンドロゲン不応症(androgen insensitivity syndrome:AIS)の2症例


地主 誠, 武内 裕之, 黒田 恵司, 小林 優子, 熊切 順, 菊地 盤, 北出 真理, 竹田 省
順天堂大学病院産婦人科


 【目的】AISは,アンドロゲン受容体の突然変異により生ずる疾患であり,その1/3が家族内発生である.AISでは,アンドロゲン不応とanti-Mullerian hormone(AMH)の作動により雌雄両性の内性器を欠如するとされる.AISにおける内性器の状態を組織学的に検討した.【方法】腹腔鏡下に性腺摘出を施行したAISの22,24歳の姉妹を対象とした.妹は9歳で鼠径ヘルニアの手術既往あり.両者とも第2次性徴は正常であるが,腋毛・陰毛を欠如していた.内診上腟は盲端であり,超音波検査・MRIでは,子宮を認めなかった.内分泌学的検査では,LHは比較的高値でFSHはやや低値で,テストステロンは成人男性の正常範囲内であった.染色体はともに46,XYであった.十分なインフォームドコンセントを得た後に腹腔鏡下に性腺摘出術を施行した.姉は膀胱頂部の索状物があり,骨盤内にある白色の性腺付近の遠位端は超母指頭大に腫大し,頭側は卵管様の索状物に連続しており,ロキタンスキー症候群に類似した所見であった.性腺付近の痕跡状子宮および卵管用組織も含めて両側付属器の摘出術を行った.妹の右性腺は左鼠径部に強固に癒着していたが,牽引しつつ摘出した.左性腺は確認できなかった.【結果】性腺は精細管からなる精巣であり,精子形成はなく間質のライディッヒ細胞の増生が認められた.両者ともに卵管上皮および精管上皮を有する2つの索状組織と痕跡状子宮に矛盾しない平滑筋塊が認められた.【結論】AISでは雌雄両性の内性器を欠如するのが一般的であるが,症例によってはWolf管やMuller管由来組織が残存することが示された.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(2) 145-145, 2008


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