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<< 学会誌へ戻る 【緒言】胎児脳出血は比較的まれな疾患である．原因として母体の凝固異常，痙攣や外傷，発熱，胎児の凝固異常，胎児ジストレスなどが挙げられる．今回，羊水減少を伴い胎児脳室内出血をきたした一例を経験したので報告する．【症例】34歳未産婦．子宮筋腫核出術および突発性難聴の既往があり，自然妊娠後近医受診，妊娠31週3日まで異常所見を認めなかった．妊娠33週4日妊娠分娩管理目的に受診した別の病院にて胎児脳室拡大および羊水過少を指摘され，妊娠33週5日当科初診となった．経腹超音波断層法にて左側脳室内に高輝度エコー像を認め，MRIにて左脳室内出血および両側水頭症の所見を認めた．羊水は少なく（AFI=5.6cm），胎児心拍モニターでaccelerationが乏しく，胎動も少なかったため，NRFSの診断にて妊娠33週6日緊急帝王切開術（全麻）を施行した．児は2030gApg2点（1分）3点（5分），啼泣なく，挿管管理となったが，日齢2に抜管しその後呼吸状態は安定した．胎児に貧血や脳室内血腫の拡大を認めず，全身状態良好，日齢46にVPシャント術を施行した．【考察】母体に胎児脳出血の原因となる基礎疾患や外傷を認めず，胎児に合併奇形や凝固異常を認めなかった．臍帯は単一臍帯動脈であったが，胎児ジストレスとの関連は不明であった．胎盤に炎症や梗塞を認めなかった．何らかの原因により子宮内で胎児に低酸素脳虚血状態が起こり慢性の胎児ジストレスの状態となって，羊水過少および脳血流の障害による脳室内出血が起こるのではないかと推測する報告があるため，今後，羊水過少と胎児脳室内出血の関連について検討を要する． 日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(2) 149-149, 2008 |
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