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第115回学術集会(平成20年6月15日(日))
【一般演題】
胎児異常 肺動脈弁欠損を合併したファロー四徴症を出生前診断し救命し得た一例
花岡 立也1,2), 西林 学1), 岡垣 竜吾1), 板倉 敦夫1), 石原 理1)
埼玉医科大学産婦人科1), 埼玉医科大学総合医療センター2)
肺動脈弁欠損(absent pulmonary valve;absent PV)は肺動脈弁の欠損により肺動脈の著明な拡張を来し,気管・気管支の圧排により出生直後より呼吸不全,心不全を生ずる疾患で,ほとんどはファロー四徴症(ToF)に合併する.今回我々はabsent PVを合併したToFを出生前診断し,他科との協力により救命し得た症例を経験したので報告する.症例は30歳,1回経妊1回経産.助産院で妊婦健診を受けていたが,妊娠28週0日提携病院での健診の際,胎児不整脈及び心室中隔欠損症(VSD)が疑われ,妊娠28週2日当科を紹介受診.超音波検査にてVSD+大動脈の騎乗+右心室の肥大を認め,また肺動脈の著明な拡張及び肺動脈弁の逆流,散発する房室ブロックを認めた.当院小児心臓科における超音波検査にて,TOF+absent PV+動脈管閉鎖+心房性期外収縮及び房室ブロックと診断された.その後,胎児心不全の発症や肺動脈のさらなる拡張は認めず.出生直後より呼吸不全を来す可能性があったため,予定帝王切開による分娩及び小児心臓科医師の立ち会いを予定していたが,妊娠36週1日切迫早産のため緊急入院.妊娠36週2日陣痛発来したため,同日小児心臓科医師の立ち会いのもと緊急帝王切開術を施行.児は1856g,女,Apgar score(1)6,(5)8.母体は術後著変なく産褥9日目に退院.児はToF+absent PVと診断された.出生直後より多呼吸,陥没呼吸,吸気性喘鳴著明で,末梢肺動脈による気管支の圧排が原因と判断.同日挿管,呼吸管理を開始.出生75日(体重3180g)根治手術を施行した.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(2)
149-149, 2008
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