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第115回学術集会(平成20年6月15日(日))
【一般演題】
卵巣腫瘍[1] 当科で経験したMixed germ cell-sex cord-stromal tumorの1例
布施谷 千穂1), 鹿島 大靖1), 宮本 強1), 塩沢 丹里1), 小西 郁生2)
信州大学医学部産婦人科1), 京都大学医学部産婦人科2)
Mixed germ cell-sex cord-stromal tumorは胚細胞腫瘍に分類される胚細胞と性索間質系細胞が混在する稀な腫瘍である.今回,卵黄嚢腫瘍による片側付属器摘出術,化学療法により緩解後13年経過し,対側卵巣にMixed germ cell-sex cord-stromal tumorを生じた症例を経験したので報告する.症例は26歳,未経妊.13歳時に左卵巣卵黄嚢腫瘍IV期にて左付属器摘出術と化学療法(VAB-6療法,ICE療法+自家末梢血幹細胞移植)を施行され,以後再発を認めず経過観察されていた.2007年6月より下腹部膨満感を自覚し前医を受診,下腹部腫瘤を認め当科に紹介された.超音波検査およびMRIにて充実性部分を含む径14cmの多嚢胞性腫瘤が認め,腫瘍マーカーはCA19-9が軽度上昇しているのみであった.右卵巣腫瘍(mucinous tumor of borderline malignancy)と診断し開腹手術を施行した.術中腹水細胞診では異型細胞を認め,迅速組織診では上皮性悪性腫瘍が疑われたが,片側卵巣摘出後,未経妊であることから右卵巣腫瘍摘出術を行い正常卵巣部分は温存した.病理診断はMixed germ cell-sex cord-stromal tumorであり,進行期はIc期であった.通常術後化学療法はBEP療法が選択されるが,既にブレオマイシンは極量に達していたこと,近年パクリタキセルを含む化学療法も施行されていることから,術後TC療法を6クール施行した.現在のところ再発徴候は認めてない.本症例について文献的考察も加えて報告する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(2)
153-153, 2008
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