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第115回学術集会(平成20年6月15日(日))
【一般演題】
卵巣腫瘍[2] 卵管明細胞癌(卵管采原発)が疑われた一例
太田 創, 大塚 伊佐夫, 上田 恭子, 林 宜嫺, 秋本 菜津子, 杉林 里佳, 古賀 祐子, 古澤 嘉明, 鈴木 真, 草西 洋, 清水 幸子, 亀田 省吾
亀田総合病院産婦人科
卵管癌は婦人科悪性腫瘍の中では約1%と稀で,大半は漿液性腺癌であり明細胞癌は報告例が少ない.今回我々は術後DC療法が有効だった右卵管采原発が疑われる明細胞癌の一例を経験したので報告する.症例は64歳,2回経妊2回経産(閉経54歳)で母が子宮癌,父が胃癌,祖母が乳癌の家族歴がある.褐色帯下を主訴に当科初診,子宮内膜細胞診は陽性,子宮内膜全面掻爬術にて異型上皮が検出され,同時に施行したダグラス窩穿刺で腹水細胞診はClassVを認め,CA125は532U/mlと高値だった.骨盤造影MRI,PET-CT,上部下部消化管内視鏡検査を施行したが原発巣は特定できなかった.開腹手術を施行,両側卵巣は萎縮性であり明らかな腫瘤は認めず,子宮漿膜・広間膜は炎症性に肥厚していた.右卵管采に硬化を認めたが明らかな腫瘤形成は認めなかった.大網に最大1.5cmの播種巣があり摘出した.播種巣はダグラス窩など子宮後方に多く認め,ダグラス窩直腸表面,腸間膜,肝表面,横隔膜下にも播種巣を認めたが残存腫瘍の最大径は1cm未満だった.腹式単純子宮全摘術,両側付属器切除術,大網切除術を施行した.術後病理診断では右卵管采原発のclear cell carcinomaで一部にEndometrioid carcinomaを認め,子宮内膜は萎縮性で肉眼的腫瘤は認めないが両側卵巣周囲と大網への播種巣を認め,StageIIIb(pT3b Nx M0)と診断された.術後化学療法としてDC療法(ドセタキセル:70mg/m2カルボプラチン:AUC5)を6コース施行してCA125は8U/mlと正常化したが現在も経過観察中である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(2)
155-155, 2008
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