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第115回学術集会(平成20年6月15日(日))
【一般演題】
悪性腫瘍・その他 腹膜偽粘液腫の治療および予後
名古 ゆり恵, 井上 知子, 山本 有貴, 片岡 良孝, 武永 博
東京都立墨東病院婦人科
1993年1月より2008年1月までの14年間に当院で治療を行った腹膜偽粘液腫10例について,その治療および予後につき検討した.症例は32〜82歳(平均59.8歳)の女性で,原発巣の内訳は虫垂6例(粘液性嚢胞腺腫3例,粘液性嚢胞腺癌3例),卵巣3例(境界悪性粘液性嚢胞性腫瘍1例,粘液性嚢胞腺癌2例),原発不明1例であった.当院で初回治療を行った症例は虫垂原発で4例,卵巣原発は全例であり,原病にまつわる既往手術歴がある症例は虫垂原発で2例,原発不明症例1例であった.治療法は,いずれも開腹手術で原発巣と腹腔内の粘液除去を行い,全例に術中または術直後よりCDDPの腹腔内投与による化学療法を施行した.虫垂原発で4例,卵巣原発で1例,原発不明1例で腹腔内への粘液再貯留により再手術が必要になった.治療成績は,虫垂原発症例では転院のため追跡不可能となった2例(腺腫1例,腺癌1例)を除く4例のうち,2例(腺腫1例,腺癌1例)が原病死(生存期間:前者47ヶ月,後者31ヶ月),1例(腺癌)が経過中に原発性大腸癌を発症しそれによる病死,1例(腺腫)が再発認めるものの4年8ヶ月経過し生存している.卵巣原発症例では1例(腺癌)が抗癌剤による急性腎不全のため死亡(生存期間149ヶ月),2例(境界悪性1例,腺癌1例)が再発なく生存中(追跡期間:前者8ヶ月,後者76ヶ月)である.検討症例が少数ではあるが,当科における虫垂原発の腹膜偽粘液腫症例は,卵巣原発症例よりも予後不良な傾向にあることが示唆された.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(2)
156-156, 2008
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