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第115回学術集会(平成20年6月15日(日))
【一般演題】
妊娠・分娩・産褥II 産褥期に無症候性に発症したHELLP症候群の1例
柿沼 敏行, 田村 正明, 古屋 潮, 山本 範子, 永石 匡司, 松浦 眞彦, 古屋 清英, 長田 尚夫, 山本 樹生
日本大学医学部産婦人科(駿河台日本大学病院)
HELLP症候群は,溶血,肝由来酵素の上昇,血小板減少を伴う症候群で,妊娠高血圧症候群との関連が示唆され,妊娠中期以降に突然の上腹部痛で発症し,分娩の終了とともに軽快することが多い.今回,妊娠中に妊娠高血圧症候群を認めず,産褥期に無症候性に発症したHELLP症候群の稀な1例を経験したので報告する.症例:35歳,1経妊0経産.既往歴:6歳;血小板減少性紫斑病,32歳;虫垂切除術,35歳;腹腔鏡下筋腫核出術(粘膜下筋腫に対して当院で施行).家族歴:特記すべき事項なし.子宮筋腫核出術施行1年後,体外受精にて妊娠成立.妊娠初期より当院にて妊婦検診を施行した.外来では高血圧や蛋白尿等の異常所見はなく経過し,血液検査所見も特記すべき所見は認められなかった.妊娠36週0日,管理目的に入院し,妊娠37週0日に選択的帝王切開術にて分娩に至った.術後翌日の血液検査にて,血小板低下,肝機能異常,LDHの上昇を認め,HELLP症候群と診断した.DICに準じた治療およびステロイド療法を開始し,血液検査所見の急速な改善を認め,術後16日目に母子ともに退院となった.今回,我々は術後の定時の血液検査所見により診断した無症候性のHELLP症候群症例を経験した.妊娠・分娩の経過で,本症例のようにlow risk群においても,本症を常に念頭におき,的確かつ迅速に対応することが重要と考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(2)
163-163, 2008
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