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第115回学術集会(平成20年6月15日(日))

【一般演題】
妊娠・分娩・産褥II
未分画ヘパリン・低用量アスピリンにて管理した反復脳静脈血栓症既往妊娠


峯 克也, 高橋 恵理佳, 渡辺 建一郎, 稲川 智子, 桑原 慶充, 里見 操緒, 三浦 敦, 石川 源, 磯崎 太一, 澤 倫太郎, 明楽 重夫, 竹下 俊行
日本医科大学産婦人科


 妊娠中は凝固機能亢進状態であり,妊婦は静脈血栓塞栓症のリスク因子を持つ.今回我々は二度の脳静脈血栓症発症の既往をもつ妊婦を未分画ヘパリン・低用量アスピリン投与により管理し,血栓症を発症すること無く分娩に至った症例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.症例は1経妊0経産.20歳,遷延する頭痛を機に左横静脈洞血栓症の診断うけた.両側のうっ血乳頭,右外転神経麻痺を認め,髄液圧は53mmH2Oであった.22歳,扁桃腺炎の後,右横静脈洞血栓症を発症し,髄液圧は>60mmH2Oであった.以後はワルファリンカルシウムにて血栓予防を行っていた.経過中に妊娠となるもワルファリン内服を理由に妊娠継続を断念している.23歳,妊娠反応陽性を確認後,ワルファリンを自己中断し前医受診.抗凝固療法目的にて当院紹介となる.妊娠5週5日より入院管理し未分画ヘパリン・低用量アスピリンを導入.妊娠33週までアスピリン81mgを内服.未分画ヘパリンはAPTT 1.5から2.5倍延長を指標に25000単位程度を増減させながら帝切前夜まで使用した.妊娠20週5日AT III 65.1%と下降した為,ATIII製剤1500単位を3日間投与した.妊娠38週3日,選択的帝王切開を施行.2356gの女児を出産した.術後12時間後よりヘパリン持続投与を行い,産後3日目よりワーファリン4mgを投与した.PT INR 1.5〜2.5を目標とし.産後9日目PT1.98となりヘパリン投与を終了とした.産後より頭痛が持続したが神経症状は認めず,NSAIDSにて経過観察とした.産後17日に施行した頭部MRAにても特に所見は認めず,産後21日目母児ともに退院となった.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(2) 164-164, 2008


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