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第115回学術集会(平成20年6月15日(日))

【一般演題】
妊娠・分娩・産褥V,その他
逆子体操はしない方がいい?


丸茂 元三, 間瀬 徳光, 難波 直子, 岩見 奈々子, 竹内 沢子, 疋田 裕美, 上田 万莉, 石田 友彦, 藤 孝一郎, 山本 幸彦, 森田 豊, 大橋 浩文
板橋中央総合病院産婦人科


 満期単胎の骨盤位は約3〜4%であるとされる.骨盤位分娩は頭位分娩に比して周産期死亡率,罹病率が有意に増加するため,帝王切開術が選択されることが多い.骨盤位分娩をさけるため,妊娠中,頭位への矯正する方法として,外回転術や膝胸位が行われることがある.外回転術は胎盤早期剥離などの危険性があるため,どの施設でも気軽に行えるものではない.また膝胸位の有効性については証明されていないにもかかわらず,多くの施設で行われているのが現状である.外回転術の成功率を上げるのにtocolysisを行うことが推奨されていることからも,骨盤位の矯正を成功させるためには,できるだけ子宮の収縮がおこらない状態が望ましいと考えられる.膝胸位は切迫早産では禁忌であるように,子宮収縮を誘発することも危惧されている.そこで,当院では,平成17年1月より十分なインフォームドコンセントを得て妊娠28週以降の骨盤位に対する膝胸位を中止して,骨盤位の自然経過をみる試みを開始した.当院では骨盤位は全例帝王切開術を行っているため膝胸位を指導していた期間と膝胸位を中止した期間の単胎骨盤位による帝王切開率(前回帝切,子宮奇形,子宮筋腫合併を除く)を比較検討した.膝胸位を指導していた平成14年1月から平成16年12月までの分娩は3305例,骨盤位帝王切開術は100例で3.03%であった.これに対して膝胸位を中止した平成17年1月から平成19年11月までの分娩は3316例,骨盤位帝王切開術は79例で2.38%であった.以上の結果より,骨盤位に対して膝胸位を行うことの有効性は認められなかった.むしろ膝胸位を行わない方が骨盤位を矯正するのに有効である傾向も示された.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(2) 167-167, 2008


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