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第115回学術集会(平成20年6月15日(日))

【一般演題】
妊娠と感染症
母体DICにより発症した周産期リステリア症の一例


鶴岡 信栄, 尾本 暁子, 井上 万里子, 加来 博志, 中田 恵美里, 長田 久夫, 生水 真紀夫
千葉大学医学部附属病院周産期母性科


 【症例】患者は33歳0経妊0経産.排卵誘発による自然妊娠による2羊膜2絨毛の双胎妊娠.既往歴として22歳時,摂食障害により心療内科に入院歴をもつ.32歳時に結婚し,摂食障害は軽快するも,妊娠悪阻を契機に摂食障害が増悪.当科にて,妊娠管理をしてしていたが,妊娠19週2日,歯槽膿漏のため歯科受診.妊娠19週6日,夜間より熱感,全身倦怠感が出現.妊娠20週0日,38℃台の発熱,嘔気,腹部膨満感を主訴とし近医受診.風邪と診断され,第3世代経口セフェム,NSAIDsなど処方される.妊娠20週2日,40℃台の発熱が継続し,食事摂取困難となったため,精査・加療目的に当科入院.全身検索を行なうも感染部位の特定にいたらず.超音波で膵炎,胆管炎,虫垂炎を否定.SIRS診断4項目をみたし,かつ,急性期DIC診断診断基準7点であり,重症敗血症と判断した.IPM/CS 0.5g×4/dayで治療開始.妊娠20週3日,血液培養より,グラム陽性桿菌を検出し,ABPC/ST 1.5g×4/dayに変更.妊娠20週4日,腹部症状が軽快し,排便,排ガスあり.自覚症状,血液データも改善.妊娠20週5日,起因菌がListeria monocytogenes であると判明.以降,母体,胎児ともとくに問題なく,妊娠22週3日,退院となる.
 【考察】妊婦,とくに多胎妊娠患者は,Immunocompromised Host とならぶリステリア症のハイリスク者である.リステリア症は胎盤を介して胎児に感染(経胎盤感染,垂直感染の一種)して,早産,流死産や胎児敗血症,また新生児髄膜炎や新生児敗血症の原因になる.本症例では迅速な治療により胎児感染を予防できた.若干の文献的考察を加え報告する.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(2) 169-169, 2008


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