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第115回学術集会(平成20年6月15日(日))
【一般演題】
妊娠と感染症 世代における風疹免疫の相違について―妊婦風疹スクリーニング検査10,000人分の検討―
茆原 弘光1), 永井 泰1), 渡辺 恒治1), 前田 香織2), 大月 純子2)
永井クリニック産婦人科1), 永井クリニック検査科2)
【目的】風疹ワクチン定期接種の制度変遷により,未接種者の割合が多い1979〜1987年生まれの世代が妊娠適齢期となり,今後先天性風疹症候群の発生率上昇が懸念される.本研究は年代別の風疹抗体価を測定し,風疹免疫陰性者の割合を調査することを目的とした.【方法】対象は2000年4月〜2007年4月の間に当院で妊婦健診を行った妊婦.インフォームドコンセントのうえ,妊娠12週時に風疹IgG抗体価の測定を行った.測定キットは蛍光酵素免疫測定法(ELFA)を用いた.【成績】対象者の総数は10301名,妊娠12週時の平均年齢は31.4±4.6(17〜47)歳,平均風疹IgG抗体価は100.1±106.6(0〜1,470)IU/mLであった.出生日時が1979年以後の群(Y群)は1895名(18.4%)で,平均風疹IgG抗体価は112.1±98.4IU/mLであった.出生日時が1978年以前の群(O群)は8406名(81.6%)で,平均風疹IgG抗体価は93.1±96.4IU/mLであり,Y群のほうが高い傾向にあったが両群間に有意差を認めなかった.ELFA法で風疹抗体価陰性と評価される10IU/mL未満の妊婦の割合はY群193名(10.2%),O群227名(2.7%)であった.【結論】風疹ワクチン未接種者の割合が多い1979年〜1987年生まれの妊婦は,それ以外の年代の妊婦より風疹に対する免疫がない者が約3倍多く存在する.現在20歳〜28歳に相当するこの年代の女性が,今後全妊婦に占める割合が多くなると予想される.先天性風疹症候群の発生率抑制のため妊娠前のワクチン接種の啓蒙が必要と思われる.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(2)
171-171, 2008
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