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第115回学術集会(平成20年6月15日(日))

【一般演題】
良性腫瘍・その他[1]
嚢胞内に多数の小粒状成分を伴った漿液性嚢胞腺腫の1例


平井 千裕, 稲垣 徹訓, 渡り 綾子, 糸賀 知子, 西岡 暢子, 小堀 宏之, 長沢 敢, 山本 勉
越谷市立病院産婦人科


 漿液性嚢胞腺腫はMRIでT1.T2強調画像にてhigh intensityを示す単房性嚢胞性腫瘤として認められることが多い.今回,MRIにて腫瘍内に多数の小粒状成分を伴った漿液性嚢胞腺腫を経験したため報告する.症例は79歳1経妊1経産婦.平成19年3月18日下腹部腫瘤感出現にて当科紹介受診.内診では,弾性硬の新生児頭大の腫瘤を触知し,超音波検査では20cm大の腫瘍を認めたが,腫瘍の原発部位が不明であった.骨盤MRI検査ではT1.T2強調画像にてlow intensityを示す多数の小粒状成分とiso〜high intensityを呈する液体成分から成る腫瘍を認めた.血液検査では,CA125 74U/ml CA19-9 171 U/mlと腫瘍マーカーの軽度上昇が認められた.子宮頚部・体部細胞診はともにClass2であった.4月27日腹式単純子宮全摘術,両側付属器切除術を施行した.術中所見は,20cm大の左卵巣腫瘍を認め,腹水は認めなかったが腫瘍の周囲に軽度の癒着を認めた.腫瘍割面は,単房性で褐色の泥状物が充満し嚢胞内には多数の石灰化を認めた.病理組織所見では,嚢胞表面の上皮が広範囲に欠損しておりその部分に炎症細胞浸潤や壊死,石灰化が認められた.上皮の残存している部分は,立方上皮や円柱上皮が認められ,明らかな細胞異型はなく漿液性嚢胞腺腫と診断された.病理所見から,MRIで認められた多数の小粒状成分は嚢胞上皮の欠損した部位に見られた壊死や石灰化によるものであったと考えられた.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(2) 171-171, 2008


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