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第115回学術集会(平成20年6月15日(日))
【一般演題】
治療合併症(婦人科) 術後敗血症性ショックにエンドトキシン吸着療法が著効した症例
塚崎 雄大, 小松 篤史, 荷見 よう子, 織田 克利, 川名 敬, 中川 俊介, 八杉 利治, 矢野 哲, 武谷 雄二
東京大学附属病院女性外科産婦人科
【症例】59歳2回経妊2回経産の女性.子宮体癌1期に対して根治手術を施行した.術後経過は良好であったが術後11日目に39度台の発熱を認めた.画像診断上は左骨盤内の8cm大のリンパ嚢胞以外には特記すべき異常は認めなかった.リンパ嚢胞への感染を疑って抗生剤投与,リンパ嚢胞穿刺を行ったにもかかわらず血圧低下,傾眠・混迷といった意識状態の悪化,呼吸状態の悪化,乏尿→無尿の出現を認めた.また血液生化学的検査では炎症および脱水所見,腎機能障害を認めた(WBC19,900/μl,CRP11.9mg/dl,Cre2.03mg/dl).また血液培養からはグラム陰性桿菌が検出された.敗血症性ショックと考え治療を開始したところショック状態は改善したが各種昇圧剤の継続を余儀なくされていたためエンドトキシン吸着療法(PMX-DHP)を施行したところ著明な状態改善を得た.【考察】エンドトキシン吸着療法(PMX-DHP)とはグラム陰性菌に対して強い抗菌活性を有するポリミキシンBを固定化した血液吸着カラムを用いて敗血症の原因物質であるエンドトキシンを除去する治療である.敗血症性ショックの診断からPMX-DHFの施行までの時間が生存率に影響を及ぼすという報告もあり,SIRS(全身性炎症反応症候群)状態が強く持続する場合の敗血症性ショックではPMX-DHPは発症早期の治療として有用であると思われた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(2)
174-174, 2008
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