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第115回学術集会(平成20年6月15日(日))

【一般演題】
治療合併症(婦人科)
乳癌術後のアロマターゼ阻害剤の使用により続発性骨粗鬆症を呈した1例―ホルモン抑制剤の功罪から学ぶこと―


太田 邦明1), 蓬田 奈保子1), 中上 弘茂1), 古川 隆正1), 森田 峰人2)
上尾中央総合病院産婦人科1), 東邦大学医療センター大森病院産婦人科2)


 乳癌は通常女性に特有な悪性腫瘍であり,30〜50歳代の死因の第一位を占め,その発症頻度は近年増加傾向にある.しかし,アロマターゼ阻害剤(Aromatase inhibitor;AI)の登場により,乳癌による死亡率は低下傾向を示している.AIは乳癌治療に寄与する一方で,骨粗鬆症の発症頻度を増加させるという問題点が指摘されている.そこでAIなどのホルモン抑制剤に関してはASCOでも検討され,NOF(米国骨粗鬆症財団)ガイドラインでは対応法が示されているが,わが国においてはAIによる骨粗鬆症の副作用については十分な位置づけがなされていない.今回我々は,乳癌術後のAI投与により骨粗鬆症の発症例を経験したので症例提示と海外におけるAI療法の位置付けおよび管理法を中心に考察したい.症例は,56歳,5G5P右胸部腫瘤感にて当院外科初診となり画像検査,針生検により乳癌の診断にて右乳癌手術を行った.病理診断は浸潤性乳管腺癌[HER2(+)ER(+)PR(−)]であった.術後化学療法としてEC-T療法を行い,以後外来でAI(アナストロゾール)と5-FUを22ヵ月間内服していた.本人希望により子宮がん検診にて当科の検診時に骨密度,骨代謝マーカーを測定した.L2-4骨密度値は0.765g/cm2(YAM69%),BAP32,6U/L,NTX31,5nmolBCE/nmol.Crにて続発性骨粗鬆症と診断した.本人と相談の上,骨吸収抑制剤は内服せずにAIをSERM剤(トレミフェン)に変更することとした.産婦人科領域においてもAIは排卵誘発法の1つとして検討され,また病巣局所でのエストロゲン発現を強力に抑制することからエストロゲン依存性腫瘍に今後使用されることが期待されている.しかし本症例のように使用に伴う副作用も充分に考慮する必要があると考えられた.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(2) 175-175, 2008


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