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第115回学術集会(平成20年6月15日(日))

【一般演題】
子宮体癌
若年子宮体癌類内膜癌G2症例4例の妊孕性温存黄体ホルモン療法


秋好 順子, 進 伸幸, 小林 佑介, 市川 義一, 末盛 友浩, 野村 弘行, 片岡 史夫, 平沢 晃, 鈴木 淳, 阪埜 浩司, 青木 大輔, 吉村 泰典
慶應義塾大学病院産婦人科


 【目的】近年,若年子宮体癌症例の増加に伴い高用量黄体ホルモン(medroxyprogesterone acetate:以下MPA)を用いた妊孕能温存療法を行う機会は増えており,有効性が報告されている.今回我々は,子宮全摘を勧めたが妊孕性温存を強く希望された子宮体癌G2症例4例にインフォームドコンセント(IC)を得た上で高用量MPA療法を施行する機会があったのでその治療成績を報告する.【方法】2006年から2007年に類内膜癌G2と診断され,MRI,CTなどにてIa期相当であり,免疫組織化学にてエストロゲンレセプター,プロゲステロンレセプター陽性である4例を対象とした.本来G2症例は妊孕性温存の適応はなく,病変が進行・転移する危険性が高いこと,一旦病変が消失しても再発率が高いことが推測され,進行・再発時には根治術が必要となることに関してICを得た.MPA(600mg/日)を継続投与し,毎月の超音波検査,内膜細胞診,内膜組織診にて治療経過を確認,4ヶ月目に子宮鏡検査と内膜全面掻爬(D&C)を施行し病変の残存が認められる場合には2ヶ月毎にD&Cを反復した.また4ヶ月ごとにCT,MRIを行い病変の進行の有無を検索した.病変消失までに要した期間についてG1症例37例と統計学的に比較検討した.【成績】4例とも病変消失が確認され,消失まで224〜406日(平均306日)で,G1の平均137日に比べて有意に延長していた(p<0.05).病変消失後の観察期間はまだ短いものの,1例は妊娠にいたり現在妊娠中であるが,1例は治療終了後130日目に子宮内再発を認めた.【結論】若年体癌類内膜癌G2症例におけるMPAの効果はG1症例より低い可能性があり,現段階では安易な適応拡大は避けるべきと考えられる.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(2) 176-176, 2008


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