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第115回学術集会(平成20年6月15日(日))
【一般演題】
子宮外妊娠 術前の妊娠反応が陰性であり腹腔鏡にて診断し得た卵管妊娠破裂の1例
後藤 由美子, 三塚 加奈子, 中村 絵里, 貴家 剛, 鈴木 隆弘, 和泉 俊一郎, 三上 幹男
東海大学医学部専門診療学系産婦人科
【はじめに】今日の子宮外妊娠の診断において,妊娠反応はその簡便さもあって最も基本となる検査であり,その結果によって鑑別診断も変化する.今回我々は術前の妊娠反応が陰性であったため卵巣出血を疑い,腹腔鏡にて子宮外妊娠と診断・治療し得た1例を経験したため報告する.【症例】31歳1経妊0経産,前日夕方に突然の右下腹部痛があり近医を受診し,鎮痛剤使用にて症状軽減したため一旦帰宅したが,午前4時に腹痛増悪したため当院救急搬送となった.来院時血圧110/70mmHg,脈拍95回/分,本人申告の最終月経は28日前,下腹部を中心とした強い圧痛と反跳痛を認め,内診は困難であった.来院時血液検査にてHb10.5mg/dl,妊娠反応定性高感度は陰性であった.腹部CT検査にて右付属器周囲の血腫像および上腹部にまで及ぶ腹腔内出血の所見を認めたため,卵巣出血の診断にて緊急腹腔鏡を施行した.腹腔内出血は約1000ml,両側卵巣に出血の所見を認めなかったが,右卵管峡部が腫大し破裂しており右卵管峡部妊娠の破裂と診断した.腹腔内に癒着所見はなく,対側卵管は正常所見であった.腹腔鏡下に右卵管切除術を施行した.術直後の血中hCG値は28.8mIU/mlであった.術後経過は貧血となるもその後は順調に回復し4日目に退院となった.【考察】妊娠反応陰性の子宮外妊娠は稀である.今回の症例では卵管流産が起きた後に時間が経過してから何らかの要因により突然の破裂を来たしたと考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(2)
179-179, 2008
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