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第115回学術集会(平成20年6月15日(日))
【一般演題】
子宮外妊娠 卵巣妊娠の3例
桧垣 博, 手島 英子, 梅澤 幸一, 本池 良行, 杉浦 聡, 松本 泰弘, 喜多 恒和, 梁 栄治, 綾部 琢哉
帝京大学病院産婦人科
【緒言】子宮外妊娠は産婦人科を代表する救急疾患で,報告にもよるが全妊娠の約1〜2%に発生すると報告されており,その中で卵巣妊娠の占める割合は更に1〜2%に発生すると報告されている.今回われわれは,子宮外妊娠の診断にて手術を行い,卵巣妊娠であった3症例を経験したので報告する.【症例】2004年8月より2008年1月までの3年6ヶ月の間に,当院で診断,治療した子宮外妊娠症例は72例で,そのうち卵巣妊娠は3例(4.2%)を経験した.年齢は全例30歳.初産1症例,経産2症例.妊娠週数11週台1症例,5週台2症例.1症例は進行流産の診断にて子宮内容除去術後を施行されたが,術後尿中hcG値増大を認め搬送となり,2症例は下腹部痛にて受診した.全例,術前超音波にて子宮内に胎嚢を認めず,腹腔内出血を認めた.2例は右卵管と思われるところに胎嚢を認め,1症例は妊娠部不明のまま子宮外妊娠疑いで開腹術に至った.術直前の尿中hcGは4000±3464IUであった.腹腔内出血は1233±404ml,2症例は卵巣外方発育型で卵巣部分切除術を施行.1症例は卵巣腫瘤形成型で皮様嚢腫の合併を認め,病側付属器切除を行った.全例開腹手術であり,輸血は行わなかった.術後経過に特記すべき事はなく,術後9.0±5.2日で尿中hcGが陰性化した.【考察】卵巣妊娠は稀ではあるが,子宮外妊娠の1〜2%に認める.術中所見で卵管に所見が乏しければ,卵巣妊娠も考え卵巣を注意深く観察する必要がある.外方発育型は,妊娠成分と共に部分的に卵巣を切除可能であったが,腫瘤形成型は妊娠部分のみ切除することは困難であり,付属器切除が必要となった.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(2)
180-180, 2008
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