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第116回学術集会(平成20年11月29日(土),30日(日))
【奨励賞候補演題1】
奨励賞候補演題1 羊水塞栓症9症例の臨床病理学的検討
米山 剛一1), 川瀬 里衣子1), 松島 隆1), 関口 敦子1), 西田 直子1), 澤 倫太郎1), 中井 章人1), 朝倉 啓文1), 川本 雅司2), 横田 裕行3), 土屋 眞一2), 竹下 俊行1)
日本医科大学産婦人科1), 日本医科大学病理2), 日本医科大学高度救命救急センター3)
我が国の妊産婦死亡対策において羊水塞栓症の理解は必要不可欠である.今回,当施設が関連した羊水塞栓症9症例を臨床病理学的に検討した.[対象および方法]1985年1月から2007年12月までの22年間に当施設が関連した確定羊水塞栓症(剖検例)7例および臨床的羊水塞栓症(救命例)2例を対象とした.診療録から臨床経過を,剖検記録から病理学的事項を可能な限り解析し,羊水塞栓症の臨床病理学的検討を行った.[結果]年齢は22歳から38歳で平均年齢は32.8歳であった.また,経産婦が6例,初産婦が2例,不明が1例であった.発症時期は妊娠32週1日から41週3日までであった.陣痛促進剤の使用は9例中4例(44.4%)に認められた.初発症状では大きく二つに大別できた.第一は破水等に続き急激に意識消失,痙攣,チアノーゼ,呼吸不全,心停止を来たし初発症状から死亡に到る時間が短いタイプ(6例)であった.第二は胎盤娩出直後から弛緩出血ようの大量子宮出血を呈しDICが前面に出てくるタイプであった.合併症として不全子宮破裂1例,頸管裂傷1例,頸管縫縮術の糸の抜糸直後に発症した例が観察され,羊水の流入口として注目される.また,臨床所見および剖検所見から心不全のタイプも左心不全を呈するタイプと右心不全を呈するタイプが観察された.[結論]羊水塞栓症には2つのタイプが存在し,特に初発症状から早期に死亡に到るタイプへの対応が今後,重要と思われた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(3)
228-228, 2008
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