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第116回学術集会(平成20年11月29日(土),30日(日))
【奨励賞候補演題1】
奨励賞候補演題1 当院で発生した新生児早期GBS感染症6例の検討
市瀬 茉里, 安藤 一道, 細川 あゆみ, 太田 寛, 菊池 真紀子, 中川 潤子, 渡邊 理子, 木戸 道子, 笠井 靖代, 宮内 彰人, 石井 康夫, 杉本 充弘
日本赤十字社医療センター産婦人科
ACOGが妊婦全例に対するGBSスクリーニング検査及び予防的抗生剤投与を推奨し,2008年に日本産科婦人科学会のガイドラインにも掲載された.米国では予防的抗生剤投与により新生児GBS感染症を0.17%から0.06%に減じることができたという報告がある.日本では新生児GBS感染症の頻度が0.051%と米国より低いとする報告が多いが,米国と同程度の頻度とする報告もある.当院で1997年から2007年の10年間に出生した21810人の児のうち,新生児GBS感染症を発症した症例に関して,その妊娠・分娩経過,NICUでの臨床経過,児の長期的予後をまとめた.新生児早期GBS感染症は経膣分娩で出生した6例,新生児遅発性GBS感染症は帝王切開で出生した3例であった.このうち,垂直感染の要因が強いとされる新生児早期GBS感染症に関して検討した.当院での新生児早期GBS感染症の頻度は0.028%であった.また,出生週数は6例中5例が37週未満,うち2例は30週未満であり,他の文献と比較し,早産例が多かった.膣培養を施行していなかった1例を除き,膣培養でGBSが検出されていた.30週未満の2例には抗生剤が投与されていたが,他4例では投与されていなかった.なお,絨毛膜羊膜炎は5例に認められた.児は出生直後より全身状態不良であり,4例は挿管してNICU入室,他2例も生後2時間以内に挿管となった.GBS敗血症が2例,GBS肺炎が5例,1例は両者合併例であった.死亡例はなく,長期的予後は軽度発育遅滞が1例,脳波で正常境界例が1例,他院で経過観察となった例が1例であり,その他3例は正常発育を示している.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(3)
230-230, 2008
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