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第116回学術集会(平成20年11月29日(土),30日(日))
【奨励賞候補演題2】
奨励賞候補演題2 子宮頸癌に対する同時化学放射線療法の有害事象に関する検討
千代田 達幸, 岩田 卓, 藤井 多久磨, 西尾 浩, 大野 暁子, 塚崎 克己, 吉村 泰典, 青木 大輔
慶應義塾大学医学部産婦人科
【目的】子宮頸癌に対する放射線療法として,従来の放射線単独療法にかわり同時化学放射線療法(CCRT)が行われる傾向にある.今回,根治的CCRTおよび術後CCRTの有害事象について検討した.【方法】04年11月〜06年12月の期間に当院で術後CCRTを施行した31例(扁平上皮癌23例,腺癌7例,腺扁平上皮癌1例)と根治的CCRTを施行した17症例(扁平上皮癌15例,腺癌2例)を対象とした.シスプラチン(CDDP)の投与は70mg/m2を4週間ごと3回行った.外照射は総線量50〜60Gyとし,根治的CCRTは症例により腔内照射27Gyを併用した.これらの症例について有害事象について検討した.【結果】根治的CCRT群および術後CCRT群ともに全例で予定されたプロトコールどおりの治療が可能であり,治療中断例はなかった.根治的CCRT群ではG3以上の血液毒性として白血球減少:3例(17.6%),血小板減少:1例(5.9%)を認めたが,非血液毒性は認めなかった.一方,術後CCRT群31例ではG3以上の血液毒性として白血球減少:15例(48.4%),血小板減少:1例(3.1%),貧血:1例(3.1%)を認めるとともに,非血液毒性としてイレウスが13例(41.9%),弾性ストッキングが必要となる下肢浮腫が10例(32.3%),リンパ嚢胞感染を3例(9.7%)に認めた.なお,イレウス症例13例のうち10例はCCRT開始後90日以上経過した晩期発症で早期発症は3例であった.【結論】根治的CCRT療法では血液毒性以外に重篤な有害事象を認めなかった一方,術後CCRTでは血液毒性・非血液毒性ともに高頻度で認められたことから,術後CCRT施行にあたっては治療効果と有害事象を考慮した上で慎重な症例選択が必要と考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(3)
231-231, 2008
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