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第116回学術集会(平成20年11月29日(土),30日(日))
【一般演題】
卵巣癌1 右鼠径リンパ節転移により判明した卵巣癌の一症例
安立 匡志, 村上 裕介, 加賀 俊章, 宮部 勇樹, 幸村 康弘, 杉原 一廣, 金山 尚裕
浜松医科大学産婦人科
【緒言】進行卵巣癌において鼠径リンパ節転移を示すものは3%未満であると報告されている.今回われわれは右鼠径リンパ節腫大を契機に発見された卵巣癌の一例を経験したので報告する.【症例】69歳,右鼠径部腫瘤にて近医整形外科受診し切除術施行.組織診にてAdenocarcinomaの診断であった.原発検索のため前医紹介受診.CT・経膣超音波検査上,年齢に比し両側卵巣の腫大をやや認める以外は明らかな異常を認めなかった.上下部消化管検索にて明らかな異常を認めず.他乳房,甲状腺検索行うも異常所見なかった.その後当院産婦人科へ紹介受診した.PETにて左卵巣部位に異常集積を認めた.腫瘍マーカーはCA125が233U/mlと高値を認めた.卵巣癌および右鼠径リンパ節転移が疑われ,診断および治療目的にて開腹術施行.術中迅速病理検査にて卵巣漿液性腺癌の診断にて腹式単純子宮全摘,両側付属器切除,大網切除,骨盤内リンパ節郭清,右鼠径部腫瘤および周囲リンパ節郭清施行.子宮は肉眼的に正常で卵巣は両側4〜5cmに不正に腫大.腹腔内に明らかな播種所見なく,リンパ節腫大も認められなかった.最終病理診断は卵巣漿液性腺癌,骨盤内リンパ節には転移を認めなかった.術後タキソール・カルボプラチン療法6コース施行した.現在外来経過観察中であるが明らかな再発,転移徴候は認めていない.【まとめ】今回われわれは右鼠径リンパ節転移を契機に発見された卵巣癌の一例を経験した.鼠径リンパ節への単独転移を示す卵巣癌の報告は極めて少ない.本症例のように鼠径リンパ節が唯一の所見である場合,注意深い原発検索が重要であると思われた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(3)
236-236, 2008
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