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第116回学術集会(平成20年11月29日(土),30日(日))

【一般演題】
卵巣癌1
脳梗塞症状で発症した進行卵巣癌の2例


岡部 瞳, 永井 富裕子, 福島 真由子, 今野 秀洋, 山本 恵理子, 氏平 崇文, 楠木 総司, 田口 雄史, 阿部 礼子, 田嶋 敦, 野島 美知夫, 吉田 幸洋
順天堂大学医学部付属順天堂浦安病院産婦人科


 【緒言】一般に卵巣癌は自覚症状に乏しく,進行癌となってから腹水等を認めて診断される症例が多いことが知られている.また卵巣癌では血栓症を合併する事が多く,最近は抗凝固療法や下大静脈フィルター挿入が必要となる症例が増加している.肺血栓塞栓症のように重篤な症状を認める場合もあるが,深部静脈血栓症では必ずしも症状を認めるとは限らない.今回,我々は脳梗塞で発症し,その原因検索により進行期の卵巣癌と診断された2例を経験したので報告する.【症例1】56歳,2回経妊2回経産.左上下肢麻痺,構語障害を主訴に,当院脳神経内科を受診し,脳梗塞と診断された.精査の結果,骨盤内に腫瘍が認められ,腹水穿刺でclass5,腫瘍マーカーの上昇より卵巣癌と診断された.ヘパリン持続静注点滴を行いながら化学療法を開始したが,全身状態が急速に増悪し21日後に永眠された.解剖所見では直腸浸潤を認める両側卵巣のserous adenocarcinomaを認めた.【症例2】52歳,0回経妊0回経産.視覚障害の主訴より近医受診し,脳梗塞と診断された.原因検索により充実部分を伴う卵巣腫瘍を認め,当院に紹介となった.MRI,腫瘍マーカーより卵巣癌を疑い,ヘパリン持続静注を行いながら手術を施行した.左卵巣のclear cell adenocarcinoma,進行期stage3bであったため,ワーファリンを併用し化学療法を開始したが,化学療法の効果なく術後約3ヶ月で永眠された.【考察】一般に血栓症を併発する卵巣癌は進行期であることが多く,今回の2例は抗凝固療法を行いながら卵巣癌に対する治療を行ったが,すでに進行癌の状態であり予後は不良であった.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(3) 237-237, 2008


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