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第116回学術集会(平成20年11月29日(土),30日(日))

【一般演題】
卵巣癌1
奇異な転移パターンを示した卵巣癌の1例


宮田 雅子, 薮田 結子, 山下 薫, 菅原 かな, 仲村 勝, 佐藤 健二, 石川 光也, 小川 真里子, 吉田 丈児, 高松 潔
東京歯科大学市川総合病院産婦人科


 卵巣癌では一般的に腹膜播種が多いが,今回,腹膜ではなく,消化管への著明な播種を認める卵巣癌の1例を経験したので報告する.【症例】59歳女性,1経妊1経産.X年5月頃より,発熱,下痢,腹部膨満感を認め,同6月20日に当院初診.初診時,39.0℃の高熱,内診上,左付属器に腫瘤性病変を認め,同部位に圧痛を認めた.画像診断上,子宮左側に10cm大の腫瘤形成を認め,辺縁は充実性成分,中心部に多房性の出血性嚢胞を認めた.腹水,腹膜播種の所見は認めず.注腸検査上,S状結腸の壁外圧迫像を認め,卵巣癌のS状結腸浸潤との診断で,6月26日に開腹手術を施行した.術中所見は,S状結腸内腔と左付属器腫瘍が交通しており,同部位を子宮,両側卵巣とともに合併切除施行した.腹膜病変はないものの,小腸から腸間膜側に硬い腫瘤を3ヶ所に認め,その最大の部位を小腸とともに切除,摘出した.術後病理診断では,clear cell adenocarcinoma,一部に上皮様構造の無い高度多形性の肉腫様の像を認め,出血壊死を伴っていた.肉腫様部分はKeratin(+),vimentin(+/-)で,上皮性腫瘍の脱分化と思われた.小腸病変は肉腫様の像のみを呈しており,転移と考えられた.一方,右卵巣,子宮に転移は認めず,FIGO分類では,Stage 3bで,TNM分類ではpT3bNxM0と考えられた.術後は,腸管の通過障害など認めず,今後は化学療法予定である.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(3) 238-238, 2008


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