|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第116回学術集会(平成20年11月29日(土),30日(日))
【一般演題】
避妊・子宮奇形 性交困難を主訴とした性成熟期女性における陰唇癒着症の1例
吉井 明日香, 石谷 健, 吉形 玲美, 清水 聖子, 橋本 和法, 太田 博明
東京女子医科大学産婦人科学教室産婦人科
【緒言】陰唇癒着症は陰唇が正中で癒着し腟前庭部を覆う外陰形態異常で,排尿困難や尿失禁などの排尿障害を来たすことが知られているが,診断は比較的容易である.今回我々は,広範な陰唇癒着により診断に苦慮した性成熟期女性における陰唇癒着症を経験したので報告する.【症例】症例:34歳.主訴:性交困難.既往歴・家族歴:特記すべきことなし.月経歴:初経15歳,30日周期,整.妊娠歴:なし.現病歴:これまでに排尿困難,月経困難を自覚したことはない.2007年8月,性交困難を主訴に精査加療目的にて当科紹介受診となった.初診時,腟口と外尿道口との区別が困難で腟欠損症が疑われた.骨盤部MRIでは,21mm厚の正常子宮内膜,腟壁および尿道を認めたが,腟閉鎖の有無は不明であった.血液検査における血算,生化学および性腺ホルモン値は,いずれも基準値内であった.膀胱鏡検査では,視診において外尿道口様である単一排泄口の入口部より1cm入った6時方向の位置から腟へ連続する瘻孔を認めた.諸検査より腟閉鎖症を疑い,全身麻酔下にて手術を施行した.手術では単一排泄口から6時方向に会陰部皮膚を切開したところ正常腟口と外尿道口を認めた.そこで,切開を後陰唇交連まで延長して陰唇癒着を切離した後に創部を縫合した.術後経過は順調で性交困難の愁訴は軽快した.【結語】これまでに性成熟期に診断された陰唇癒着症の報告例数は少数であり,また本症例では陰唇癒着症の原因とされる低エストロゲン状態や局所における炎症の存在を疑う経過も認めなかった.さらに,広範な陰唇癒着により他の外陰部奇形との鑑別を要した症例であった.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(3)
242-242, 2008
|