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第116回学術集会(平成20年11月29日(土),30日(日))
【一般演題】
避妊・子宮奇形 Wunderlich症候群の一例
水谷 亜紀子, 今井 文晴, 岸 裕司, 五十嵐 茂雄, 伊藤 理廣, 峯岸 敬
群馬大学産婦人科
Wunderlich症候群は,AFSclass-3の子宮奇形に分類される重複子宮,重複腟,片側の腟閉鎖による傍頚部嚢胞および患側の腎形成不全を合併する稀な疾患である.本邦において1976年から約40例の報告があるのみである.約60%が10代で診断されている.約50%が経腟的開窓術,腟壁切除のみで治療が可能であるが,診断および治療に腹腔鏡を併用する症例も増加している.今回我々は帯下異常を主訴とするWunderlich症候群を経験したので若干の文献的考察を含めて報告する.【症例】患者:16歳女性.月経歴:初経13歳,月経周期30日,整,持続7日間.家族歴,既往歴:左右鼠径ヘルニア.膿性帯下を主訴に来院した.超音波,MRI,CT検査にて重複子宮,横腟中隔に伴う子宮留血腫,左腎欠損を認め,Wunderlich症候群と診断した.全身麻酔下に経腟的開窓術を施行し,切開部組織は病理的に腟中隔であり,重層扁平上皮であった.現在外来にて経過観察中であり,経過良好である.【結語】本症候群は希少疾患であり,複雑な形態から診断は容易ではないが,術前に診断がつけば,経腟開窓術で治療し得る.開窓術後の感染,炎症などの再発例の報告は0.03%と低率であるが,炎症が骨盤内に達する重症例もある.今後も経過観察が必要であると考えられる.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(3)
242-242, 2008
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