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第116回学術集会(平成20年11月29日(土),30日(日))

【一般演題】
避妊・子宮奇形
造腟術後に頸管狭窄による留血腫を繰り返し,低用量ピルの長期連続内服により管理した,腟欠損症の一症例


岡垣 竜吾, 石原 理
埼玉医科大学産婦人科


 今回我々は腟欠損症に対する造腟術後に子宮頸管狭窄による留血腫形成を繰り返し,治療に苦慮した一症例を経験したので報告する.[症例]13歳女性,初経未.既往歴,家族歴n.p..月に3日間程度の下腹痛を訴え,近医受診.腟欠損症を疑われ,精査のため当院紹介となった.初診時所見:腟は完全に欠損.エコー上,子宮体部に径3cm,その下方にも径6cmの留血腫を認めた.骨盤MRIでも同様の所見であった.両側卵巣は正常に描出.機能性の子宮・卵巣を有する腟欠損症と診断,造腟術を施行した.術中所見において,子宮腟部が欠損し子宮口不明であったため,開腹し子宮底を切開,内腔よりゾンデを通し頸管拡張した.術後プロテーゼ留置により腟は保たれ,上皮化も良好であったが,術後53日目に腹痛訴え来院.肉芽様の組織が形成され子宮口が閉鎖,子宮体部,頸管内に血腫を認めた.術後56日目に静脈麻酔下に経腟的ドレナージ施行.その後GnRHa12か月間投与.以後も血腫の再貯留を反復,術後21か月で開腹し頸管再開通術を施行するも,1か月後には血腫再発.術後24か月より低用量ピルの連続内服を開始した.内服開始3か月後より血腫は縮小し,子宮内膜は薄く,腹痛の訴えもなくなった.現在OCを13か月連続内服中.特に訴えなく経過している.[考察]子宮頸管の閉鎖は,稀な先天性の発生異常であり,腟欠損症に伴う例がある.頸管の開通術(+造腟術)後,頸管再狭窄による留血腫や感染合併のために子宮全摘となる例が多いが,近年では妊孕性の維持を追求する方向性にある.低用量ピルの連続内服法はこうした症例の子宮を維持するために有用と考えられる.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(3) 243-243, 2008


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