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第116回学術集会(平成20年11月29日(土),30日(日))

【一般演題】
合併症妊娠1
肺機能低下・MRに伴う心不全症状増悪・大動脈弁輪拡大を認め管理に苦慮したMarfan症候群の1例


中西 篤史, 松田 秀雄, 早田 英二郎, 川上 裕一, 芝崎 智子, 吉田 昌史, 吉永 洋輔, 太枝 美帆, 古谷 健一
防衛医科大学校産婦人科


 Marfan症候群合併妊娠は心血管病変の合併率が高く,大動脈基部径40mm以上でリスクが高まり50mm以上では大動脈解離発症の危険性が高まるとされ予後に影響する.一方,大動脈基部径40mm未満でも,著しい側彎による呼吸機能障害や弁膜症の合併などMarfan症候群合併妊娠の問題点は多彩かつ複雑であり,管理を誤ると予後不良な結果をもたらす.症例は27歳女性,1経妊0経産.身長150.0cm体重41.7kg.クモ状指・胸腰椎側彎等の身体所見よりMarfan症候群と診断されていた.妊娠27週より呼吸困難感が出現,大動脈基部径39.9mm,重度僧帽弁逆流を認め,28週より入院管理とした.入院後は収縮期血圧130mmHg以下・心拍数110bpm以下を管理目標にラベタロール150mg/日投与を行ったが,妊娠29週6日の心エコーで僧帽弁逆流の増悪所見を認めた.また,胸腰椎側彎に加え,妊娠子宮による横隔膜の圧迫により%VC41.3と低下,動脈血液ガス分析でpO2 72.3Torrとなり夜間呼吸困難感は次第に増悪した.このため,帝王切開の方針となったが,呼吸機能悪化や側彎のため麻酔法の選択に苦慮した.最終的に妊娠30週4日で脊椎クモ膜下麻酔下に帝王切開術を施行,1465gの男児を出生した.術後は心不全症状を認めず,8日目に退院となった.新生児にはクモ状指を認めた.本症例では大動脈基部径は50mm未満であったが,側彎による呼吸機能の悪化と僧帽弁逆流の増悪を認めた.Marfan症候群合併妊娠においては,大動脈解離以外の合併症にも十分留意してterminationの時期・方法を決定すべきと考えられた症例を経験したので,本人に説明を行い同意を得た上で報告する.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(3) 246-246, 2008


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