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第116回学術集会(平成20年11月29日(土),30日(日))
【一般演題】
合併症妊娠1 妊娠34週に重症心不全を発症し周産期心筋症と考えられた1例
鈴木 大輔1), 曽田 雅之2), 大澤 稔2), 塚越 規子2), 山田 清彦2)
前橋赤十字病院救急科1), 前橋赤十字病院産婦人科2)
【緒言】周産期心筋症は,分娩最終月から産後5ヶ月間の間に進行する心不全であり,左室駆出率(EF)45%未満などを基準とする疾患である.今回,妊娠34週に原因不明の心不全を発症し,周産期心筋症と考えられた1例を経験したので報告する.【症例】30歳0経妊0経産.妊娠30週ごろより動悸,息切れがあったが,妊娠のせいと思い放置していた.34週3日の夕食後より嘔気・頭痛が出現し前医入院.34週4日の早朝に呼吸苦が出現し,SpO2;82%まで低下し当院へ母体搬送された.<来院時所見>呼吸困難を訴え,血圧100/50,心拍数160/分,SpO2;80%(リザーバーつきマスク酸素15L/min).代謝性アシドーシスを認めた.心エコー;EF20%程度.胸部レントゲンでは両肺野に浸潤影を認めるも,心陰影の拡大は認めず.<経過>NPPV(FiO2;0.80,PEEP;10)にて呼吸管理開始.SGカテーテル挿入し,CI;5,PCWP;10mmHgでForresterIであった.CTGはFHR160bpm,reactive,子宮収縮は頻回であった.カルペリチド,フロセミド,シベレスタット投与を開始した.34w5d,心拍数は160回/分と頻脈持続しEF20%で変化なく,呼吸状態の改善を認めず,CTGでNRFSとなったため全身麻酔下に緊急帝王切開術を施行した.児はAPGAR2点(1分)で気管挿管施行.NICUで管理しその後の経過は順調であった.母体はICUで管理しPOD4に抜管できた.その後徐々に全身状態改善し,POD17にドパミン中止し,POD35に退院した.【まとめ】妊娠中に呼吸障害を認めた場合は呼吸器および循環器疾患を伴っていることがあり,精査が必要となる場合がある.本症例は心不全が急激に重症化したが,各科との連携がうまくいって母児ともに救命することができた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(3)
246-246, 2008
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