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第116回学術集会(平成20年11月29日(土),30日(日))
【一般演題】
合併症妊娠3 妊娠経過中に発症し,ヘパリンカルシウムにて良好にコントロールしえた脳梗塞合併妊娠の1例
松浦 孝幸, 大藏 慶憲, 堀内 縁, 里野 美佳, 宇野 雅哉, 島 絵美里, 八重樫 優子, 小林 康祐, 宇田川 秀雄
総合病院国保旭中央病院中央病院産婦人科
妊娠経過中に脳梗塞を発症したが,ヘパリンカルシウムの投与にて良好にコントロールしえた症例を経験したので報告する.【症例】34歳の2経産の女性で特記するべき既往なし.妊娠31週2日突然左眼前が真っ暗になり左不全麻痺が生じ,MRIでは右後頭葉皮質下に脳梗塞を示唆する所見を認めた.治療は入院管理の上で部分トロンボプラスチン時間(APTT)を用いて凝固能を評価しつつ,ヘパリンナトリウムの持続静注を行った.32週2日に症状は徐々に改善してきたため,ヘパリンカルシウム1日2回の皮下注射に切り替え,併せて自己注射の指導を行った.33週1日に退院となり,以後外来にて週1回の経過観察となった.この経過中胎児の健常性は良好だった.分娩方法はオキシトシンによる分娩誘発とすることとした.38週5日分娩誘発目的で入院した時点でヘパリンカルシウムの投与を中止し,39週0日経腟分娩となった.分娩誘発の開始時のAPTTは延長していたが,夕方には正常値になっていた.分娩時の出血量は少量であり,母児ともに特に異常なかった.産褥1日目よりヘパリンナトリウムの持続静注を再開し,3日目からはワルファリンカリウムの内服に変更となった.脳梗塞の再発は認めなかった.【結語】ヘパリンカルシウムは一日2回の皮下注射でAPTTを維持することができるので,妊娠経過中に発症の脳梗塞患者に自宅にて自己注射にて管理できる点から有用であると思われる.また,APTTをよりコントロールさせることが出来る点から,分娩方法は自然陣痛発来を待つよりもオキシトシンによる分娩誘発がよいと思われる.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(3)
251-251, 2008
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