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第116回学術集会(平成20年11月29日(土),30日(日))
【一般演題】
合併症妊娠3 妊娠中治療抵抗性であった重症ITP合併妊娠の一例
石川 広明, 梁 善光, 五十嵐 敏雄, 矢部 慎一郎, 中川 圭介, 落合 尚美, 重城 真智, 松本 由佳
帝京産婦人科
血小板数1000/mm3以下の重度特発性血小板減少性紫斑病(ITP)を合併し,ステロイドや免疫グロブリンに対して反応が乏しく治療に苦慮したが,無事経膣分娩に至った症例を経験したので報告する.症例は22歳,0回経妊0回経産.既往歴に特記事項なし.2年前の検診では血小板数には異常なく特に出血傾向等には気づいておらず,妊娠直前にやや痣ができやすかった気がしたという.妊娠初期より前医で妊婦健診を受診していた.妊娠30週2日,血尿,歯肉出血,点状出血の症状が出現し,この時の血小板数が1000/mm3以下のため,当院に紹介となり精査入院となった.骨髄穿刺よりITPと確定されPLS50mg/日の内服を開始した.全く反応なきため,PLS1g/日x3日間の点滴パルス療法に変更したがやはり血小板数は不変であった.このため33週1日より試験的に免疫グロブリン大量療法(20g/日)を開始したところ,反応はやや不良であったが8日目に3.5万/mm3まで上昇した.これらの結果を受け分娩は計画分娩とし,誘発7日前から再度免疫グロブリン大量療法を行いつつ不足分は血小板輸血を行って誘発分娩をする方針とした.なお臍帯穿刺による胎児の血小板数検査は十分なインフォームドコンセントの上施行していない.妊娠36週6日よりグロブリン点滴を開始し,5日目に陣痛発来となり,その時点で血小板1.8万/mm3のため,血小板合計40単位輸血し経膣分娩となった.児は2670g,女児,APS 9/9児は血小板24万/mm3と正常であった.出血は220g.出産1時間後の血小板12万/mm3,産褥2日目は5.7万/mm3,産褥4日目は1.3万/mm3と経時的に減少したが産褥経過は順調で5日目退院となった.本症例の経過に若干の文献的考察を加え報告する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(3)
252-252, 2008
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