|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第116回学術集会(平成20年11月29日(土),30日(日))
【一般演題】
合併症妊娠3 特発性好中球減少症合併妊娠の一例
岩城 真奈美, 藤木 豊, 道上 大雄, 安倍 梓, 中村 佳子, 小倉 剛, 小畠 真奈, 濱田 洋実, 吉川 裕之
筑波大学産婦人科
特発性好中球減少症は原因不明の好中球減少により重症感染症罹患を反復する稀な血液疾患である.今回G-CSF製剤を使用し,合併症無く分娩管理を行い得た一例を経験した.【症例】36歳未産婦.【既往歴】生来発熱することが多く,5歳時肺炎で入院加療を受けて以後,しばしば肺炎で入院を繰り返していた.20歳時の肺炎加療中に白血球減少を指摘され,21歳時当院血液内科を初診した.白血球数は2000/μL,膠原病は否定され,骨髄穿刺ではhypocellular bone marrow,neutropeniaであり,特発性好中球減少症と診断された.ステロイド療法を施行するも白血球数の増加なく,22歳時G-CSF治療導入,良好な反応を認めた.以後外来にてG-CSF治療としたが通院は不規則で,26歳時に経済的理由によりG-CSF治療は中止となった.以後は発熱時に受診し,抗生剤とG-CSFを一時的に投与する治療を継続していた.【現病歴】続発性無月経のため近医を受診し,同疾患合併のため妊娠18週に当科紹介初診した.初診時白血球数1600/μL.以後外来にて無投薬で経過観察した.胎児発育は順調で異常を認めなかった.妊娠経過中に感染症のエピソードは出現せず,白血球数は1900-2200/μLで推移した.妊娠39週1日,分娩管理目的にて入院,自然陣発後にG-CSF 150μgを投与し,妊娠39週6日2390gの女児をAPGARスコア9点(5分)で分娩した.臍帯血の白血球数は6300/μLであった.産褥1日,G-CSF 150μgを投与,その後産褥1ヶ月まで母子とも感染兆候なく順調に経過している.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(3)
253-253, 2008
|