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第116回学術集会(平成20年11月29日(土),30日(日))
【一般演題】
合併症妊娠3 急性リンパ性白血病合併妊娠の一例
矢崎 聡, 勝俣 祐介, 篠崎 博光, 定方 久延, 増田 由起子, 笠原 慶光, 小松 浩司郎, 水谷 亜紀子, 峯岸 敬
群馬大学産婦人科
急性リンパ性白血病(acute lymphocitic leukemia:ALL)は,成人急性白血病の約20%とされ,妊娠中の発生頻度は75000〜100000妊娠に1例と極めて稀である.今回我々は妊娠後期に発熱を契機として診断されたALL合併妊娠の1例を経験したので報告する.【症例】26歳,2回経妊2回経産,前2回帝王切開,自然妊娠成立し近医にて妊婦健診をされていた.妊娠31週6日,発熱,全身倦怠感,下腿の浮腫,歯痛を主訴に近医受診し,血液検査及び末梢血液像で著明な白血球増多(6.96x109/μl),芽球>60%,肝機能障害(AST43U/l,LDH 1725U/l)を認め急性白血病が疑われた.妊娠32週1日にて周産期管理目的に当科紹介となった.当科再検でも同様で,また,血小板14万/μl,播種性血管内凝固(DIC)は併発しておらず,母胎治療を優先させるため母体適応(前2回帝切)にて,翌妊娠32週2日にて緊急帝王切開施行(男児1818g Ap 4-7-8,術中出血量992g,輸血施行せず.)同日行った骨髄穿刺の結果,ALL(L2)と診断され,術後1日目造影CTでは腋窩リンパ節腫脹,膵臓及び腎臓に腫瘍性病変を認めた.術後4日目に化学療法目的に血液内科転科となった.【まとめ】白血病合併妊娠では母体の白血病治療が優先される.完全寛解にむけた早期診断早期治療開始が重要であるが,妊娠継続の可否,児娩出時期の決定については,母体の予後,白血病治療薬の胎児への影響や,胎児の未熟性などを十分に考慮した検討が必要であると思われる.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(3)
253-253, 2008
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