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第116回学術集会(平成20年11月29日(土),30日(日))

【一般演題】
子宮外妊娠
当科で経験した大網妊娠の一例


朝比奈 はるか, 遠藤 究, 狩野 智, 吉田 光典
公立藤岡総合病院産婦人科


 腹膜妊娠は全子宮外妊娠の1.4%とされ,その中でも大網妊娠は非常にまれといわれている.今回我々は大網妊娠を経験したためここに報告する.症例は25才3経妊2経産1人工中絶.最終月経6月17日から7日間.7月30日(6週1日相当)に前医にて患者希望に基づき人工妊娠中絶術(子宮内清掃術)施行.その後も妊娠反応陽性が持続していた.9月7日(妊娠11週5日相当)軽度な下腹痛あり当科受診.性器出血なし,経腟超音波検査にて子宮内にgestational sacを認めず.子宮内膜の厚さは8mm.ダグラス窩EFSなし.両側付属器領域に異常なし.尿中hCGは256IU/ml.外来にて経過観察の方針とし3日後に再受診の予定であったが9月9日になり下腹痛増強したため受診,内診にて左付属器領域に圧痛あり.超音波所見は初診時と変化はなく,子宮内GSなし,明らかなエコーフリースペースもなかった.経過より子宮外妊娠が強く疑われたため,同日全身麻酔下に腹腔鏡を用いて腹腔内の観察を行った.子宮および両側卵管,卵巣は正常大で異常は見られなかった.大網表面にコアグラの付着する小さな結節状部分を発見し,コアグラを除去しよく観察したところGSであると疑われたため,開腹手術に切り替え大網部分切除術を施行した.子宮内膜掻爬術も同時に施行した.病理組織診断は,大網脂肪組織内に小型の絨毛が複数認められ,強い出血を伴っており,大網妊娠であった.子宮内容に絨毛は認められなかった.臨床的に子宮外妊娠が強く疑われるにもかかわらず超音波で子宮外妊娠部位が明らかでない場合,腹膜妊娠の可能性も念頭において診療を進めることが重要である.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(3) 255-255, 2008


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