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第116回学術集会(平成20年11月29日(土),30日(日))
【一般演題】
切迫流早産,RPLS 切迫早産の管理中,硫酸マグネシウムを点滴静注時に発作性心房細動が発症した1例
中山 毅, 石橋 武蔵, 田中 一範
JA静岡厚生連静岡厚生病院産婦人科
切迫早産の治療として塩酸リトドリンを用いたケースで,稀ではあるが,上室性頻拍や心室頻拍などの頻拍性不整脈が現れた報告がある.しかし硫酸マグネシウムを投与中には,心ブロックなどの伝導障害の報告が散見されるのみである.今回硫酸マグネシウム持続静注後,発作性心房細動を発症した症例を経験したので報告する. 25歳.4経妊1経産(3回人工妊娠中絶).前児は36週にて原因不明の子宮内胎児死亡.自然妊娠成立後,28週までの経過は順調.29週時,子宮頚管長19mmと短縮したため入院.安静,塩酸リトドリン持続点滴を50-60μg/分にて施行.児は骨盤位のまま経過した.35週3日,HbA1cが5.9%と高値.75g OGTTでもGDMのパターンであり(空腹時114mg/dl,1時間値238mg/dl,2時間値122mg/dl),塩酸リトドリンの耐糖能への影響を考えて中止し,硫酸マグネシウムを1g/時にて開始した.投与開始10時間後に胸部不快出現.Bp 86/67,HR 150.12誘導にて発作性心房細動の診断.硫酸マグネシウムを中止,リン酸ジソピラミド50mgを静注し,同調律に回復した.子宮収縮も頻回に出現したため,同日腰硬麻下に緊急帝王切開とした.35週4日,2160gの女児をアプガースコア9点にて分娩.術後は,母体は不整脈の再発なく母児ともに順調な経過であった. 硫酸マグネシウムは,刺激伝導系を遅延する作用があり,心ブロックのある患者には禁忌であるが,今回の症例より硫酸マグネシウムを投与中は心房細動などの頻拍性の不整脈の発現にも注意する必要があると思われた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(3)
260-260, 2008
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