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第116回学術集会(平成20年11月29日(土),30日(日))

【一般演題】
合併症妊娠4
妊娠中の好中球減少症を契機に診断された全身性エリテマトーデスの1例


品川 光子, 石川 香織, 古川 哲平, 菊地 範彦, 長田 亮介, 大平 哲史, 芦田 敬, 塩沢 丹里
信州大学産婦人科


 妊娠中の好中球減少症は塩酸リトドリン投与によるものが知られているが,それ以外の原因での発症は稀である.今回我々は妊娠中に白血球減少症・好中球減少症が出現し,精査の結果全身性エリテマトーデス(SLE)と診断された1例を経験した.症例は31歳,1回経妊1回経産の女性で,妊娠6週では白血球は3100/μlであったが,妊娠30週0日には白血球1300/μl,好中球507/μl,妊娠31週0日には好中球が368/μlと著明に減少したため当科に紹介された.来院時,ヘモグロビン値は11.4g/dl,血小板数は20.9万/μlでリトドリン使用の既往はなかった.原因検索のため検査を進めたところ,抗核抗体640倍,抗2本鎖DNA抗体陽性,抗SS-A抗体陽性などからSLEと診断された.好中球の増加を期待して妊娠37週2日よりプレドニゾロンの内服を開始したが効果は不十分であったため,妊娠39週1日より顆粒球コロニー刺激因子の投与を開始した.妊娠39週3日には好中球2899/μlと増加し,同日経腟分娩となった.児は2238gの女児でApgar scoreは8/9であった.母体には分娩経過を通じて発熱は認めず,また児に新生児ループスはみられなかった.一般的にSLEに伴う白血球減少症の多くはリンパ球減少が主体であるが,本症例は好中球減少が主体である稀な1例と考えられた.妊娠中に白血球・好中球減少症を認めた場合には,SLEをはじめとする自己免疫疾患も疑って精査を進めることが重要と考えられた.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(3) 262-262, 2008


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