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第116回学術集会(平成20年11月29日(土),30日(日))

【一般演題】
合併症妊娠4
肺リンパ脈管筋腫症合併妊娠の一例


田口 千香, 篠崎 博光, 勝俣 祐介, 定方 久延, 増田 由起子, 笠原 慶充, 水谷 亜紀子, 小松 浩司郎, 峯岸 敬
群馬大学医学部附属病院産婦人科


 リンパ脈管筋腫症(lymphangioleiomyomatosis:LAM)は,肺胞壁,胸膜,縦隔,後腹膜骨盤腔のリンパ節,腎臓などで平滑筋様細胞(LAM細胞)がびまん性,不連続性に増殖し,20〜30代の妊娠可能年齢の女性に好発する,比較的稀な疾患である.肺では末梢気腔の破壊や嚢胞形成をきたし,労作時呼吸困難や自然気胸,血痰などの症状が出現する.今回,我々はLAM合併妊娠の一例を経験したので報告する.症例は34歳,初産婦.30歳時,月経に伴う右鼡径部の腫脹・圧痛を主訴に近医受診.近医にて腹部エコーで腹水指摘され,精査目的に当院婦人科入院.乳び腹水を認め,リンパ節生検にてLAMと診断.以後,当院呼吸器内科にて経過観察していたが,徐々にCT上の嚢胞性陰影増加と肺機能低下を認めていた.33歳時,自然妊娠成立.妊娠・分娩によるLAMの増悪について説明するも,本人の希望により妊娠継続となった.妊娠21週より当科にて外来管理となり,妊娠経過・児の成長ともに問題なかった.妊娠36週1日に右自然気胸発症にて当院呼吸器外科入院となり,トロッカー挿入し,酸素投与開始.状態安定後,左胸にも予防的にトロッカー挿入し,妊娠37週5日に腰椎麻酔下で選択的腹式帝王切開術施行.3004gの女児をApgar score 8−9−10にて娩出.児は出生後,経過良好であった.術後,母体の呼吸状態は安定していたが,術後6日目より乳び胸水出現し,ホルモン療法開始となった.LAMは妊娠による増悪についての報告もあるため,LAM合併妊娠では呼吸器内科と連携をとり,母体の呼吸状態に注意して管理する必要があると考えられる.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(3) 263-263, 2008


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