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第116回学術集会(平成20年11月29日(土),30日(日))

【一般演題】
合併症妊娠4
瀬川病合併妊娠の1例


馬場 洋介1), 渡辺 尚1), 佐藤 友美1), 田中 均1), 鈴木 達也2), 松原 茂樹2), 鈴木 光明2)
芳賀赤十字病院産婦人科1), 自治医科大学産婦人科2)


 【はじめに】瀬川病は常染色体優性の稀な疾患で,小児期に下肢姿勢ジストニーで発症,ジストニーは15歳頃までに全身に広がり,20歳頃までその程度は増す.また,症状の著明な日内変動が特徴である.治療はLevodopaにより完全に症状が消失し,その効果は何ら副作用なく生涯持続する.瀬川病患者が妊娠後もLevodopa内服を継続し,生児を得た症例を報告する.【症例】27歳,0経妊.10歳頃より歩行時に両側ともつま先立ちになってしまう症状,14歳頃より両眼球が上転する症状が出現.いずれも日内変動を認めた.兄がすでに瀬川病と診断されており,上記2症状と日内変動より,瀬川病と診断されLevodopaとCarbidopaの配合剤が開始され,症状は出現しなかった.24歳で結婚,Levodopa単剤に変更,妊娠前より,一定量の内服を継続し,症状の出現はなかった.妊娠10週2日に当科初診,妊娠31週4日-35週2日に切迫早産で入院し塩酸リトドリンを点滴静注した以外は妊娠中に異常はなかった.妊娠36週1日に陣痛発来,翌日自然経腟分娩.Levodopaの母乳移行による児への影響を考慮し,本人と相談の上,人工栄養とした.1か月健診で異常なく終診とした.妊娠前から産褥期を通してLevodopaの内服を継続し,症状悪化はなかった.【考察】瀬川病合併妊娠の管理について,これまで5症例8妊娠の報告がある.今回の症例を含め,生児を得た妊娠は全例でLevodopaが継続投与されている.Levodopaの中止や減量に伴う症状の悪化が妊娠,分娩に悪影響を及ぼすこと考慮し,妊娠中,授乳期を通して,妊娠前の量で継続するべきであると思われる.妊娠分娩中の産科的管理は通常通り,授乳については,本人に現状を説明し,本人に決定させる.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(3) 264-264, 2008


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