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第116回学術集会(平成20年11月29日(土),30日(日))
【一般演題】
周産期その他 当院での子宮内胎児死亡の検討
今井 雄一, 神田 義明, 大竹 紀子, 吉田 佐知子, 山口 肇, 毛利 順
藤沢市民病院産婦人科
【目的】妊婦や家族にとって新しい生命の誕生が至福のひと時である一方,子宮内胎児死亡(以下IUFD)は深い悲しみを引き起こす.しかしIUFDは適切な妊娠管理を行っていても避けることができないのも事実である.当院におけるIUFDについて検討した.【方法】1998年1月より2008年6月までの10年6ヶ月当院における妊娠22週以降のIUFDについてその原因や分娩週数を中心に後方視的に検討を行なった.【結果】過去10年6ヶ月当院における妊娠22週以降の総分娩数は4685例だった.IUFDはそのうち34例あり,総分娩数の0.73%を占めていた.分娩週数では妊娠22〜23週6例,24〜27週6例,28〜31週5例,32〜35週8例,36〜39週8例,40週以降1例でIUFDの発生は妊娠週数とは相関はなかった.原因別にみると胎盤因子10例,臍帯因子10例,奇形2例,原因不明12例であり,IUFDの59%は胎盤または臍帯の胎児附属物が原因であった.胎盤因子には常位胎盤早期剥離が8例あり,その内4例(50%)が32〜35週に発生した.臍帯因子には臍帯過捻転が7例あり,3例(41%)が36〜39週に発生した.原因不明症例には墜落産3例が含まれていた.【結論】IUFDは適切な妊娠管理によっても完全に避けることは出来ないが,胎盤や臍帯など胎児附属物がIUFDの原因の6割弱を占めており,その多くは妊娠32週以降に発生しているため,妊婦健診においては胎児発育のみならず胎児附属物の状態の診察を慎重に行なうこと,また妊婦や家族に対する正確な情報提供や啓蒙活動がIUFDを未然に防ぐ上で重要であると考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(3)
267-267, 2008
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